アクティブシニア・ビジネス
アクティブシニア・ビジネス
キーワードは「エイジレス」
2000年の時点で約3000万人だった60歳以上の人口は、2010年には釣4000万人に急増する見込みだ。日本は、人口の約1/3が60歳以上となる超高齢化時代に突入することになる。
このうち、第1次ベビーブーム(1947~1949年)で生まれた「団塊の世代」と呼ばれる約1000万人が、2007-2010年に一斉に退職の時期を迎える。団塊の世代は、次世代産業の巨大なマーケットとして大きな期待が寄せられている。
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60歳を迎えた団塊の世代はシニア層ではあるものの、これまで現役で働いており、いきなり高齢者として扱わ
れるのには心理的な抵抗が強い。彼らは経済的に恵まれ、体力も全盛期から落ちてきてはいるものの、まだまだ旺盛だ。
そのため、「現役以上・老人未満」という年代を考慮した微妙なマーケテイングが必要である。
団塊の世代を老人救いし、あからさまな高齢者向けのサービスを提供するのはタブーである。
「エイジレス」という形で高齢者に限定しない、というのは一つの方法である。
戦前教育を受けた高齢者層とアクティブシニア層では、考え方やライフスタイルが大きく異なる。
一般に高齢者は贅沢を好まない傾向が強いが、高度経済成長において消費の中心的な役割を果たしてきたアクティブシニア層には健康で旺盛な消費意欲がある。自分なりのこだわりを大事にしていることも大きな特徴である。
自分の価値観に合うものであれば高価な商品を購入する半面、自分のスタイルに合わなければたとえ安くても購入しない。
信頼関係ができればリピート率も高いが、ニーズを捉えるのが難しい層であるともいえる。
アクティブシニア層は、これまで大半の時間を会社で費やしてきたが、引退したことで自由に使える時間に大幅な余裕ができる。
セカンドステージでは、旅行や趣味など「自分」にお金と時間を使うようになる。
このニーズを捉えた典型例として、ヘルスツーリズムがある。
ヘルスツーリズムとは、体と心の治療・健康促進などを目的とした旅行だ。健康に関わる旅行は古くから注目を集めているが、近年ではマスター世代の生活の質(QOL)の向上を図るための手段として活発化してきている。
アクティブシニア層は、健康に対する関心がとりわけ高い。健康で自立した生活をいかに長く続けられるかはこの世代の共通テーマと言えるだろう。従来のスポーツクラブは若年層が顧客の中心であったが、近年ではアクティブシニア層に特化したプログラムやスポーツ用品などが多数開発されている。
また、シニア層に限定したスポーツクラブも登場し、若い人に気後れすることなく自分のペースで運動を楽しめるようになってきている。
年齢を重ねるほど目は肥えてくる。アクティブシニア層は、本当に美味しいもの、健康に役立つもの、質の高いものならお金を惜しまない傾向が強い。
ファミリーレストランや安価な弁当などでは、精神的な欲求を満たすことは難しい。 これに応えるように、マスター世代向けのレストランやグルメ情報などが増えてくるだろう。
量は少なくとも、質が高く、ヘルシーであること。目を楽しませることで精神的な満足が得られるものである。高齢者の増加によって必然的に和食系が増えるだろう。
アクティブシニア層は、時間の余裕と経済力はそれなりにあるものの、潜在的に経済的な不安を抱えているのも特徴である。
住宅ローンや養育費の負担といった義務的な支出からは解放されているが、長期入院などの将来的なリスクを考えると、趣味などで思い切った支出をするのはなかなか難しい。
そこで、「資産の流動化」という発想が生まれる。
リバースモーゲージは居住住宅を担保に金融機関などから生活資金を定期的に受け取るというものであり(死亡時に清算手続きが取られる)、古くからあるビジネスモデルである。
団塊世代の退職によってアクティブシニア層が増えたことで、リバースモーゲージのニーズの拡大が期待できる。
高齢になるにつれ「これまで自分を育ててくれた社会に感謝したい」、「地域や他人の役立つことに時間を費やして貢献したい」と考える人が増えてくる。
アクティブシニア層は経験や知識が豊富であり、引退前にOAスキルを多かれ少なかれ身につけゼいる人が多い。
これからブロードバンドが本格的に普及し、端末もパソコンだけでなくテレビや携帯電話などに拡がっていく。
もし体が思うように動かなくなっても、自宅などでネットワーク越しにつながることができる。新しいインフラが整備されることによって、シニア向けの様々な「生きがい」ビジネスが盛んになるだろう。