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新時代の象徴としての自動車の変化

「エネルギー」と「ブロードバンド」という二つのパラダイムがほぼ同時に変化することで、「21世紀の新しいビジネスルール」ではあらゆるビジネスにおいてビジネスモデルを見直さざるを得なくなる。 その両方の影響を最も強く受けるのが自動車産業である。自動車産業の転換は新たな時代の象徴でもあり、他の産業への影響も極めて大きい。
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日本の自動車産業は車体メーカーの売り上げ合計だけでも約60兆円、材料から部品製造、販売、修理、ガソリンスタンドに至るまでを含めると、GDPの約2割を占める巨大産業だ。さらに、関連企業やその従業員・家族がいて成り立っている様々なサービス業、例えば人材派遣やお昼の仕出し弁当、工場の前のコンビニエンスストア、手数料を貰っている取引銀行など、経済全体に与える影響は計り知れない。「日本経済の屋台骨」であり、まさに基幹産業なのである。

自動車産業の中では既に「エコ・システム」ができあがっている。できることならこのまま変えたくないというのが、業界全体の偽らざる声だろう。だが、原油価格の上昇や地球温暖化といった環境変化に伴って、現状に留まることができなくなるのは明らかだ。このことは、エコ・システムができあがっている状況下で、ブロードバンドの普及によって変化を余儀なくされている放送業界とも状況がよく似ている。さらに今後は「サステイナビリテイ」として資源逼迫も加わってくる。いずれにしても自動車業界は変わらざるを得ないのである。
もう一つ、エレクトロニクス業界の努力によって、モバイル機器用として2次電池の性能が飛編的に向上したことも重なった。業界外の技術革新により、技術的にも電気自動車が可能になってしまったので、「やらざるを得なくなった」のである。
業界の秩序やルールが崩れ、ビジネスモデル、さらには価値観までもが変わる。自動車業界は大混迷の時代を迎えるだろう。自動車とは何か?自動車産業とは何か?という根本的なところから再定義が迫られる。およそ100年にわたって続いてきた「エンジン」と「物販」の歴史が、「モーター」と「サービス」へと変わっていくのである。それは「革命」と呼ぶべき変貌である。これから起こる変化としては「パワー革命」「ICT革命」「ビジネスドメイン革命」の三つが挙げられる。

「パワー革命」~エンジンからモーターヘ

一つめは「パワー革命」である。 
これはエネルギーが石油から電気へ、そして動力はエンジンからモーターへと移行していくことである。サステイナビリティを考えれば、最終的には電気自動車に収斂していくだろう。ハイブリッド車が意味する環境とは「CO2が少ない」という点しかない。だが、ハイブリッド車が化石燃料を消費することは変わりはない。
生産するためのエネルギーや資源という、より広い観点で環境への影響を考えると、ハイプリッド車も最終的なゴールにはなり得ない。実際、欧州ではハイブリッド車はあまり支持を得られていない。国と国を結ぶアウトバーンを走ることが多いため、ハイブリッドシステムは質量を重くするだけであまり意味がないのだ。複雑なシステムはメンテナンスに手間もお金も掛かる。欧米は基本的に電気自動車やプラグインハイブリッド車を推進しているため、今後はライバルである日本のハイブリッド車を酷評してくるだろう。世の中全体が「オール電化」していく中で、いずれにせよ自動車が煙を吐きながら内燃機関で走り続ける時代は、永遠には続かない。自動車が電気に変わるのは、アナログからデジタルに変わっていく歴史的な必然でもある。

「lCT革命」

二つめは「ICT革命」である。
ICTとはInformationandCommunicadonTechnologyの略である。全ての先進国メーカーは「サービス」中心のビジネスモデルヘの転換が避けられない。化石燃料を燃やし、3~5年で「買い替えてもらう」ことを前提とする物販モデルは永続できないのだ。資源ナショナリズムの高まりと共に、数で稼ぐモデルにはいずれ限界がくる。モノを売った後にも安定収益が得られるようなサービスモデルを、新たに確立する必要がある。
今後は、業界が望む望まないは別として、自動車にブロードバンドがつながることが可能になる。どこからでもブロードバンドにつながるのが当たり前になると、メーカーと顧客との関係が今までと変わり始める。先進国はこれから軒並み人口減少に向かう。限られたパイでどれだけビジネスができるか、顧客とどれだけ密接につながっているかという勝負になる。ネットワークは顧客を手離さないための「手段」として有効であることに、皆が気づき始める。自動車はそれを販売して収益を出すことより、モノが売れればアクセスを独占できる顧客が増え、その後のビジネスチャンスが広がることに大きな価値を見出すようになるだろう。自動車は、「プロダクト」(商品)というより、「プレイス」(場所)という捉え方が強くなっていく。その結果、モノづくりも「手離れ」ではなく「顧客の手を離さない」ことに重きを置くように変わっていく。
 電気自勤車の時代になると、新興国メーカーやベンチャー企業からも参入が容易になる。ブロードバンドは、これらの企業との差別化という点でも重要である。ハイテク化するほど装置産業化が進むため、基本的には資金力の勝負になっていく。電機業界は水平分業化が進んでおり、新興国メーカーが技術的にキャッチアップするのは早い。モノの部分での安さや性能を追求するだけでは「いたちごっこ」が続くだけで、勝機は見えてこない。ネットワークは様々なソフトの複合体である。特に優れたコンテンツを生み出すには、その土台として洗練された文化が不可欠だ。これらは新興国では容易に真似できない。ブロードバンドのインフラが先にできてマーケットをつくれるという、先進国としての有利さを生かすことにもなる。プラットフォーム・ビジネスでは資金力と信用が不可欠だ。「仕組み」で勝負することは、モノしかないベンチャー企業と一線を引くことにもなるだろう。

ICTは、自動車を「走る」以上の存在に進化させる「可能性」としても重要である。
現代は様々なエンターテイメントが溢れている。都市集中が進むことで、交通手段はますます充実してくるだろう。
このような環境変化の中で、ただ移動するためだけの自動車では魅力や存在意義が薄くなっていくのは避けがたい。
自動車がネットとつながることで、例えば隣に物知りなパートナーを乗せて走っている感覚を持つようになるだろう。行く先々でいろいろな情報を教えてくれるナビなど、インターネットは自動車を今までとは違う方向へ進化させる「可能性」なのである。携帯電話はネットとつながったことで「話す」以上のものへと進化し、多くの人たちにとって生活に欠かせない道具になった。大きなボックスを肩にかけて電話がワイヤレスで使えるようになったばかりのころ、今日のような携帯電話に進化することを想像していた人などほとんどいなかったはずだ。それと同じで、自動車とインターネットの融合は、既成概念を超える新しいモノが生まれる土台になると考える。

三つ目は「ビジネスドメイン革命」である。
これはエンジンからモーターに変わることで、必然的に事業領域の変化が起こるということだ。電気自動車は、部品メーカーやベンチャー企業が実際に生産を始めている。だが、このような新規参入がある一方で、動力がモーターになることで新たな事業領域も見えてくる。 移動のための足=「モビリティ」という見方をすれば、その領域は建設分野、福祉、軍事など、幅広い領域へと広がってくるだろう。
近年、自動車はメカニクス(機械)からエレクトロニクス(電子)へのシフトが進んでいる。そこに、さらにコンピューターやネットワークといった要素技術が本格的に加わることによって、「ロボトロニクス」とも呼ぶべき、知能を持った工業製品という性格を強めていくだろう。
ここでいう「知能」とは、いわゆる人工知能(AI)のような高度なものを指すのではない。対応が決まっているものを人間に成り代わって行ったり、人間の判断を支援したりするようなものが中心になるだろう。自律的にバランスをとる「ジャイロセンサー」は、その最も基本的なものだ。既に自動車には、車間距離を自動で維持する機能や車線逸脱を防止する機能など、様々なインテリジェント機能が実現されている。だが、これらはあくまで付加的な機能として扱われている。これらの技術は自動車が既成概念から解き放たれた時、例えば工場の中でロボットが移動するためのモジュールとして使われる際などには、これらの技術が真価を発揮するだろう。
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配信時代にグーグルらにしてやられるITSテレマティクス

今コンピュータネットワークの主な部分はほとんど米国メーカーにおさえられている。 
CPUはインテル、OSはマイクロソフト、インターネットはシスコ、検索はグーグル、ネット通販はアマゾン・・・・・・といった具合だ。
日本のメーカーはその間にちょこちょこと台湾メーカーや中国メーカー、韓国メーカーと競争しながら生き永らえている。
今後の「クラウド」ではMSのサーバセンターが野球場くらいの規模であることが報道されて日本人は度肝を抜かれた。 これではこれまで国内市場でなんとか生き残ってきたITベンダーも、その多くの部分を海外メーカーにもっていかれてしまう可能性がある。 「クラウド」や「Google」は日本のIT産業にとっての黒船であることは間違いない。
これはITSによる「車載クラウド」においても同じであろう。 グーグル、MS、アマゾン、シスコ等がサーバーを持ち車載端末に地図を含めての情報配信をするようになれば、日本のナビメーカーはコスト競争の中でアジアメーカーとの戦いに敗れていくしかない。
その場合、日本メーカーが生き残る方法論とはアップルがやったように「ハード(iPhone)+ネットサービス(iTunes、Appstore)」という事業モデルを考え出していくことではないだろうか。

車載端末はクラウドのデバイスのひとつ・・という位置づけ

マイクロソフトは「車室内は非常に戦略的な場所」と見ている。 下記のようなアプリを可能にするところにビジネスモデルが存在すると考えるからだ。

  1. 自宅で見ていたTV番組の続きを子供が後部座席で楽しむ
  2. 車で通勤中に天気や交通情報を入手する
  3. 携帯音楽プレイヤーに入っている曲をドライブ中に聴く
  4. その他、社内はある場所の経験を別の場所へシームレスに移していく場所であり、車載機器はそのための各デバイスを統合する役割を持つという考え方に基づくアプリ

車載の世界でも、ハードメーカーは金を払ってテレマティクス用コンテンツを手に入れている。 しかし、ハードウェアだけのビジネスではやがて高級車向け高級ナビ以外は価格競争の世界に突入していく可能性が高い。 特に今後の自動車市場の中心となる中国やインド等アジア市場ではそうなりやすい。 したがって次第にカーナビ事情はハードだけでは利益を出せないビジネスになっていくのである。
するとカーナビメーカーはハード主体でなく、コンテンツ/サービス事業にシフトしていかざるを得ない。
だが現在、状況は逆に向かっている。
カーメーカーはHVやEVに開発投資を振り向けざるを得ないためにテレマティクスサービスを継続すべきか否か迷っているときく。
ナビメーカーはグーグルなどと提携し、自社のナビ地図にグーグルのPOIを貼り付けられるようにしているが、これではグーグルだけが広告料で儲けられ、ハードメーカーに利益は入ってこない。
カーナビメーカーは「ナビのハードの価値を高めるためにはコンテンツに金を払って買う必要がある。 儲からなくてもグーグルとの提携は必須」という。
だがそれではPCの世界と同じで、マイクロソフト・グーグル・Yahooだけに利益が集中してしまい、ハードメーカーの多くは低価格競争の中でアップアップになってしまう。
むしろカーナビメーカーは(ハードだけでなく)グーグルなどのコンテンツプロバイダから場所料を取ることで利益をあげられるようにもっていけないものだろうか。

自動車には下記①、②の2つのクラウド化が今後発生し得る。
①車載情報端末(乗用車におけるカーナビ、商用車における運行動態管理システム)におけるクラウド化

  1. サーバ側にある地図をPOIと共に配信する。
  2. 車両(EV/HV)の電力残量をサーバがネットワーク経由でチェックし、残量不足とシミュレーション結果が出た場合は通信では車載情報端末に通知する。 その場合、近隣の充電器の位置情報などを併せて送信する。
  3. プローブカーシステムでクルマから収集した渋滞情報をサーバで「坂道勾配などによるエネルギー消耗やCO2排出量など」を踏まえてシミュレーションし、最適ルート&エコドライブガイダンス情報を車載端末に配信する。
  4. ETC/DSRCによる料金収受/新たな電子マネー的アプリ(コンテンツ料金、電力料金など)
  5. 商用車についてはこれまでの物流効率化に加え、「CO2排出量削減」 

②自動車そのもののクラウド化

  1. 自動車が今後インフラ協調を経て自動運転の方向に進んでいくとした場合、走行系やパワトレ系の制御についてもサーバ側から何らかの働きかけが行われるようになっていく。
  2. たとえばドライバの癖をサーバ側が情報として持っていれば、「急カーブの地図情報+ドライバのハンドル切りの甘さ」と9いうデータからのシミュレーションで、ハンドルの切り方に強さを加えるなどの遠隔操作が考えられる。
  3. 高齢者ドライバや障害者ドライバのハンディ部分をサーバからの遠隔操作でなんらかの補正を行うことも考えられる。

2011年に販売予定の「TeslaModelS」というクーペタイプの電気自動車は、充電時間はおよそ45分。 販売予定価格は約500万円を予定している。
テスラモーターズ社は米国メーカーであり株主もついているので、発表は実際のスペックはそれほどかけ離れないものと思われる。
電気自動車は「実現は時間の問題」などというレベルではなく、商品として既に販売が始まっているものである。
2009年8月、米国政府はビッグ3とLiイオン2次電池開発で提携した企業などを対象に、総額24億米ドルもの「無償供与」を発表し、オバマ大統領は「次世代エコカーをめぐる競争で日本などから主導権を奪還する」という意向を表明している。
2009年6月、日産自動車は米エネルギー省からの16億米ドルもの融資を受け、電気自動車を生産するためにテネシー州のスマーナ工場を拡充すると発表した。この融資は「先進技術を利用した自動車製造への融資制度(ATVMLP)」に基づいたもので、ATVMLPでは米連邦議会により250億米ドルもの予算枠が承認されている。
現在、日産自動車、米フォード・モーター社、テスラモーターズ社の3社が承認されている。
電気自動車は、一過性のブームなどではない。 少なくとも米国政府はその実現に向けて本気で取り組んでいる。

「自動車サービス産業」は、「自動車サービス産業」ともいうべき新しい形態に発展していく。従来のように「良い自動車を作って販売する」という単純などジネスではなくなってくる。
ブロードバンドを通じて様々なコンテンツの提供や、広告、EC(電子商取引)などが入ってくるからである。
時間の経過と共に、物販よりも「サービスを提供するためのプラットフォーム」という意味合いの方が強くなる。
エレクトロニクスや通信業界はもちろん、データセンターや様々なサービスを提供するためには、ITは事業の一部として欠かせないものになるだろう。
電気自動車の普及と共に、将来的にはエレクトロニクスとの「融合」へと発展する可能性もある。
エレクロニクス系企業の中からは自動車メーカーとして名乗りを上げる企業も出てくるであろう。
エネルギー分野や農業分野に直接乗り出す自動車メーカーも出てくるかもしれない。
電化によってデザインの自由度が高まり、自動車業界以外とのコラボも活発になることが予想される。
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自動車は「ガソリン」から「電気」の時代へ

交通インフラと自動車分野における最大の変化は、自動車の動力がエンジンからモーターへと変わることである。
今後の主役になるのは電気自動車かハイブリッド車かという議論が盛り上がりを見せているが、電気自動車が必要なのは、いわゆる「環境問題(地球温暖化防止)」のためではない。
社会を持続可能にするためには、再生可能なエネルギーである電気へとシフトする必要があるからである。
持続可能になれば環境問題は必然的に解決されるものであって、それ自体が目的ではない。

もう一つの変化は、電池とモーターが前提になることで自動車の基本形が変化すると共に、自動車というものの概念が広がるということである。
電気自動車はエンジンをモーターに置き換えたものではない。 「インホイルモーター」にすればボンネットは不要になり、車体の中央を貫くドライブシャフトも不要になる。 燃料タンクや排気ガスの削ヒ装置も不要になる。電気自動車の構造は非常にシンプルである。さらに、車体の中で「火を燃やさない」ので熱対策も容易になる。ボディも金属である必要がないためプラスチック化して軽くすることができ、自由な発想のまま斬新なデザインの自動車を作ることができるようになる。
自動車を動かすノウハウは自動車メーカーに一日の長があるが、技術的にはどの分野の企業にとっても同じ位置からのスタートである。
自動車が電気駆動になることで、自動車の概念が大きく広がるだろう。中国では、プラモデルを組み立てる感覚で小型電気自動車を作っているメーカーが既に数百社に上るといわれている。中国国内では免許不要で運転することができ、電動スクーターのように扱われている。

これらは現在、自動車とは見なされていないが、このような低価格な小型電気自動車こそ、中国やインドといった新興国市場で主役になる。
それは、世界の自動車産業において最大勢力になるということでもある。
先進国でも都市集中や単身世帯の増加などを反映して、スモールカーのニーズが高まる。二輪や三輪を含めて様々なタイプの電動モビリティーが登場する。動力がモーターになることで、究極的にはタイヤさえ不要=二足歩行や四足歩行のものも自動車の範時に入ってくるはずである。
用途も、いろいろな分野に広がることが予想される。
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