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クラウドコンピューティング

2009年はクラウドコンピューティング市場にとって「元年」と言ってよい。2009年に入って、ITベンダー各社が競うようにクラウドコンピューティング市場戦略を具体化し始めた。
それまでも、2008年頃からセールスフォース・ドットコム社が火付け役となってSaaSへの注目度は一気に高まったが、一部のアプリケーション市場で外資系ベンダーが旋風を巻き起こしているという状況だった。
また、グーグルやAmazonの動向がメディアを飾っていたものの、明らかに話題性が先行していたといえるだろう。
しかし、国内主要ベンダーが揃ってクラウド事業に注力する姿勢を見せ始めたことで、明らかになっている。 
市場黎明期にあって「クラウドコンピューティング」は一種のマーケティング用語として多用されているのだが、何か特定の技術やサービスを指しているわけではない。
今や、ネットワーク経由で行われるもおは総じてクラウドと呼ばれるまで、その概念を拡張している。
画像の説明

クラウドコンピューティングは新たな「利用形態」

クラウド・コンピューティングは、ネットワーク(主にインターネット)の「向こう側」にあるコンピューターリソース(資源)を、ユーザーがサービスとして利用するというコンピューターの利用形態である。
インターネットを図示する際に雲状の絵が多く用いられていることから「クラウド」と表現されている。雲の中には様々なハードウエアやソフトウエアの実体が存在するが、利用するユーザーからは雲の中身は見えない(そもそも意識する必要さえない)というイメージである。

クラウド・コンピューティングというキーワードは2006年ころから米国を中心に注目され始めたが、新しい技術の名称ではない。「Web2.0」と同じように、既に起こりつつある現象や動向を総称するものであり、具体的な定義はあいまいである。
そのため、クラウド・コンピューィングという包括的な呼称の中には、「グリッド・コンピューティング」や「ユーティリティー・コンピューティング」「ASPサービス」「SaaS(Software as aService)」といった多彩な概念や仕組みが含まれている。
 クラウド・コンピューティングと呼ばれるサービスは、顧客管理など業務用アプリケーションをはじめ、メールのアウトソーシング、データを外部保存するストレージサービスなど、企業向けから個人向けのものまで様々なものが登場している。最近では、ワープロや表計算ソフトなどパソコンにインストールして使うのが常識だった。
 ソフトウエアも、オンライン上での利用が始まった。代表的なのは、米グーグル社の「Gmail」や「Google Docs」であろう。
2009年7月、米マイクロソフト社は次期「0ffice」ではWeb上で無料利用できるサービスを開始すると発表した。 クラウドへの流れが、もはや誰にも止め難いことを象徴するものだろう。

クラウド・コンピューティングは「所有」から「利用」へ変化するアウトソーシングの一形態と考えることができる。
ブロードバンドが以前と比べて格段に安価に利用できるようになり広く普及したことと、サーバーの一仮想化技術が進みサービスの提供側が低コストでインフラを構築できるようになったことが大きい。
関連する多くの新ビジネスが登場するという期待も大きい。
現在の景気後退とそれに伴うIT予算の緊縮を背景に、ホスティング型のアプリケーションやサービスが一段と魅力を増すという見方が高まっている。
クラウド・コンピューティングは、現在の不況下で市場が成長すると予想されている分野である。
調査会社の米ガートナー社は、世界のクラウドサービスの市場規模は2009年に563億米ドルを超える見通しであり、今後も急成長を続けて2013年には1500億ドル超に達すると予測している。調査会社IDCJapanは2009年における日本国内の市場の規模を596億円(前年比20.8%増)と推計しており、2013年には1,52]、億円(2008年比で3.1倍)に上ると予測している。

クラウド・コンピューティングの分類

クラウド・コンピューティングのサービスは範囲は広く、「SaaS」(アブl)ケーション)、「Paas(Platform as a
Service)」(プラットフォーム)、「IaaS(Infrastructureas a Service)」もしくは「HaaS(Hardware as aService)」という3種類に大別される。
SaaSはユーザーがネットワーク経由でアプリケーションを利用できるようにサービスを提倶するものである。使った分だけ課金されるのが一般的で、従来のようにライセンスを購入する必要がなく、管理コストの削減も期待できる。米セールスフォース・ドットコム社の「Salesforce CRM」が有名である。

PaaSは開発環境を含めたプラットフォームをサービスとして提供するものである。開発に必要な環境が最初からネットワーク上に用意されているため、開発者は煩雑な事前準備なしに即座に作業に取り掛かることができる。
代表的なものとしてセールスフォース・ドットコム社の「Force,com」や、グーグル社の「Google Apps Engine」がある。

IaaSもしくはHaaSは、システムを構成するために必要なハードウエアやインフラを、「仮想化」という技術を使って専用に用意されたインフラ(CPU、ストレージ、OS、ミドルウエアなど)であるかのようなサービスとして提供するものである。
利用者はハードウエアを持つことなく、使いたいときに使いたい種類のOSやミドルウエアやストレージ容量を選択してクラウド上にサーバーを構成し、自由にサービスを開発することができる。
米アマゾン社の「AmazonEC2」が有名である。

クラウド・コンピューティングのメリットとデメリット

クラウドコンピューティングの大きなメリットは、契約して短期間で利用できること、そして急激な利用者の増減やサーバー不可の増減に応じてスケールの変更を迅速にできるということである。
ハードウエアの資産を持たなくて済むメリットも大きい。
ソフトウエアのバージョンアップやセキュリティーパッチの適用といった、メンテナンス作業から解放されるため、運用コストの低減も期待できる。一般的には従量制の課金システムが採用されており、利用に見合った分の運用コストで済むために投資リスクも低い。

経営的な観点から言えば、クラウド・コンピューティングのメリットは、ITに関わる費用を固定費から変動費へ変えられることだ。 これは財務的なメリットをもたらすばかりでなく、IT戦略としてもシステムの規模や構成を変更できる大きなメリットがある。
自社開発でシステムを作ってしまうと、多少問題があってもそのシステムを使い続ける以外に選択肢がなくなるからだ。

クラウド・コンピューティングにはデメリットや課題もある。
インターネットを前提とした利用形態であるため、インターネットにつながらない環境や、あるいは接続が不安定な場合に業務ができなくなってしまう。
サービスが停止してしまうと、企業活動自体が止まってしまう危険性もある。サービスを提倶する会社が突然倒産し、連鎖倒産するというケースも十分考えられることである。
そのほかにも、開発主体がサービスの提供側であるため自力ではプログラムの改修などの解決ができない、外部にデータを預けることでセキュリティーヤプライバシーの不安が高まるといった問題もある。

クラウドコンピューティングの定義と分類

まず、あらゆる「クラウドコンピューティング」の共通認識となっている定義は、「ITを、ネットワークを通じてサービスとして利用する」という形態であることだ。 アプリケーションからOS、ストレージ、インフラに至るあらゆるレイヤーにおいて、ITリソースは「雲」の中にある。 つまりサービス提供者(クラウドプロバイダー)側によって集中管理、集中処理される。 ユーザーは資産として「所有」する必要はなく、「利用」するだけでよい。
 利用場面での特徴は、IT資産を準備したり購入するコストと手間が不要で、利用状況を自由に決め、利用量に応じて料金を支払うことができることだ。 利用量は、自由に追加したり削減することが出来る。 従来型のオンプレミスのシステム構築がシングルテナントであるため個人所有の一軒家の建築、クラウドコンピューティングはマルチテナントであるためマンションの賃貸利用に例えられることもある。 一軒家はまとまった予算を準備し、時間をかけて自分の好みの仕様で建築するが、いったん建てた以上変更は難しい。 マンションはある程度仕様が決まっているがすぐ利用を開始できる。 賃料は面積などによって月額製で支払い、スペースが足りなければ借り増すことも可能だ。

オンプレミスとクラウドコンピューティングの違い

  • 一軒家=オンプレミス
    • 自社占有
    • 自社固有の仕様で構築する
    • まとまった予算が必要となる
    • 構築には時間がかかる
    • 完成後の変更は困難
    • メンテナンスは自分でやる
  • 賃貸マンション型=クラウドコンピューティング
    • マルチテナント
    • 事業者が決めた仕様で利用する
    • 準備・構築期間が不要ですぐ利用できる
    • 料金はサブスクリプションモデル(従量課金)
    • 利用開始後の追加、停止などの変更が容易
    • メンテナンスフリー(事業者がやってくれる)

クラウドコンピューティングによってもたらされる「3つの解放」

クラウドコンピューティングは、IT市場にどのようなインパクトを与えるのか、3つの「解放」というキーワードで表現することができる。 クラウドコンピューティングはまだ新しい概念であるため、目指すべき、実現すべき未来像である、と換言しても良いだろう。

  1. ロケーションからの解放
    Webを介し、場所を問わないITの利用が進む。 ユーザーがアプリケーションにアクセスするために固定のオフィスにいる必要はない。 デバイスは高機能パソコンでなくてもよい。 携帯電話やスマートフォン、ネットブックのようなモバイルPCなどの利用がいっそう増加する。
     また、サービス提供者の場所も問わない。 事業者のサービス拠点は、国内のロケーションは元より、世界中どこであっても良いため、事業者間の競争はグローバル規模となる。 ユーザーは均質なサービスを受けることが出来る。
  2. リソースからの解放
    ITを利活用するために、ハードウェアやソフトウェアを購入する必要がない。 それらを置く場所や環境を用意することもない。「モノ」ばかりでなく、専門知識を持ち、構築したりメンテナンスする「人」を抱えることも不要になる。 負担の重いリソースを持つことも無く、IT化のメリットを享受できる。
  3. コストからの解放
    従来、ITはコストがかかるものだった。 まとまった資金を用意して様々なリソースを揃え、時間を掛けて準備し、利用開始後はバージョンアップをしたりパッチを当てるなどの運用を行っていた。 クラウドコンピューティングは、これらの費用を掛けずに即座に、かつ安価にITを利用することができる。

クラウドコンピューティングの分類

  • パブリック・クラウド
    • ITリソースの所在: ITベンダーのデータセンター
    • サービスの対象者: 誰でも利用できる、 企業向け及び個人向けのサービスがある
    • リソースの
      利用者はリソースの導入、準備、設定をする必要がない
      高度な技術に基づくスケーラブルなリソースを利用でき、更に利用量を自由に拡張、削減できる
      サービスレベル(可視性、セキュリティ等)は均一に提供される
    • 利用料金: 従量課金で、一般には安価な価格に設定されている
  • プライベート・クラウド
    • ITリソースの所在: ITベンダーにデータセンター
    • サービスの対象者: 特定の企業、または企業グループ
    • リソース
      リソースはITベンダーがデータセンターで保有し管理する
      サービスレベルが共通化されている部分もあるが、個別ニーズへの対応を行う
    • 利用料金: 契約により価格体系が異なると予想されるが、従量課金となってもパブリッククラウドほどのスケールメリットはない
  • ITリソースの所在 ユーザ企業内
  • リソース
    リソースは自社で購入し保有する
    パブリッククラウドのテクノロジーやスケーラビリティは再現できないが、仮想化や自動化などの技術によって効率化が実現する
    サービスレベルは自社/自社グループ向けにオーダーメイドできる

サービスの種類によるクラウドの分類

  • クラウドコンピューティング 
    • パブリッククラウド
      • SaaS
      • Paas
      • IaaS / HaaS
    • プライベートクラウド
      • 特定企業向けSaaSなど
      • PaaS
      • IaaS / HaaS

クラウドの3要素

  1. 仮想化
  2. 標準化
  3. 自動化

クラウドコンピューティングが提供する5つの価値

  1. 仮想化に加え、標準化・自動化による更なるコスト削減の実現
  2. 必要なリソースの即時提供によるビジネススピードの向上
  3. 従量制料金の提供による資産の変動費化と利益の最大化
  4. ITガバナンスの徹底とセキュリティーの強化
  5. 当たらしいお客様の獲得とビジネスの創造

クラウドヘの流れは決定的

ブロードバンドの普及によって、ユーザーが使用する端末はパソコンに限らなくなる。携帯電話機やテレビ、ゲーム機、カーナビ、さらに電子ブックのビューワーなど、今後新たなカテゴリのハードウエアが出てくる可能性もある。だが、パソコンでは開けるデータが携帯電話からは開けなかったり、データの続きを編集するために毎回データを移動させるのは面倒だったりする。ユーザー側からすれば、端末や場所が違っても同じことができるのが理想だろう。接続するハードウエアが多様化すると共に、データをまとめて管理したいというニーズは強くなっていく。クラウドヘの流れは、ブロードバンドの普及に伴う必然なのである。
クラウド・コンピューティングが普及することで、ハードウエアがシンクライアントへ向かう流れは確定的なものになる。重要なデータはネットワークの向こう側に置かれるようになり、処理もサーバー側がメインになる結果、クライアント側は、よりシンプルなもので済むようになるからだ。最近、「ネットブック」と呼ばれる低スペックなノートパソコンが人気を♯めているのは、シンクライアントヘの流れを象徴するものだ。基本的には同じデータを扱うため、ハードウエア間の差異もどんどん小さくなっていくだろう。

ヘビークライアントを強く推進してきたのはマイクロソフト社と米インテル社であった。だがインテル社では、微細化による半導体の高速化が物理的な限界に近づいており、その代わりに複数のコアで並列処理を行うことで処理スピードを上げる「マルチコア」へと方針転換を図っている。マイクロソフト社も従来の方針を一転し、自社運用とクラウドを適材適所で組み合わせ、双方の長所を生かして利用するというコンセプトを提唱し始めた。2009年末には「Windows Azure」と呼ばれるサービスを開始する予定である。 
Windows AzureはWindowsの開発環境をそのままクラウドへ移行するものであり、「クラウドOS」とも言うべきものだ。開発者は、これまで培ってきた開発スキルを生かしてクラウド上でソフトウエアやサービスの開発ができるようになる。
マイクロソフト社とインテル社が方針を転換したことで、ヘビークライアントを推進する勢力は事実上いなくなった。今後クラウド・コンピューティングに向かっていくという潮流は決定的になったと言っていいだろう。

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