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バッテリー技術

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バッテリー技術

基幹部品としての2次電池とモーター

電気自動車向けの電池としては、Liイオン2次電池の時代が長く続くものと推測される。
リチウム(Li)は金属でありながら軽く、電池の材料として理想的なものである。方式の変更などの可能性はあるが、素材としてリチウムを使うということは将来的にも変わらない。
Liイオン2次電池のほか、再生エネルギーを利用するためにLiイオンキャパシタが併用される可能性もある。
モーターでは、最も強力な希土類磁石(ネオジム磁石)が主役であることは将来的にも変わらないだろう。ただし、レアアースの資源確保が難しくなるのは確実な情勢であり、希土類の使用量をできるだけ少なくする方向で代替材料や生産方法の研究が進むものと予想される。
ネオジム磁石が発明されたのは1982年と、まだ30年も経っていない。素材開発が進む中でさらに強力な磁石を作れる可能性もある。
モーターが強力になることは単なる馬力アップに留まらず、電力の利用効率が上がって省電力にもつながる。
電動モビリティーの航続距離が延びるのはもちろん、家電製品の省エネやロボットの高性能化にも貢献する。モーターは極めて重要である。

車体の小型化と非金属素材による大幅な軽量化、2次電池の性能向上、モーターの改良などによって、電気自動車は2015年ころには連続航続距離は300km以上、急速充電器を使えば10分以内で90%充電が可能になる可能性が高い。
ガソリン車と異なり、電気自動車では家を出るときには基本的に「フル充電」の状態であり、インフラが整えば外出先でも駐車中に充電ができるようにもなる。
重要なのは充電時間が短くなることであり、それに加えて300km程度連続で走れる容量があれば実用上は何の問題もなくなる。

Liイオン2次電池をめぐる織烈な開発競争

「サステイナビリテイ」という意識が高まるにつれて、社会全体が「オール電化」へと向かっていく。
それに伴って、自動車のオール電化も加速していくと予測される。 モーターは構造がシンプルで、しかも「枯れた技術」である。 ここで大きな差を出すことは難しく、電気自動車の性能は2次電池で決まるといっても過言ではない。
 ハイブリッド車や電気自動車でLiイオン2次電池の開発競争が過熱している。日産自動車はNECグループ、トヨタ自動車はパナソニックグループ、三菱自動車はGSユアサコーポレーションとそれぞれ組んで、早期量産開始を目指して急ピッチで動きだした。
日立製作所グループは米ゼネラルモーターズ社へ、三洋電機はドイツのフォルクスワーゲン社へそれぞれLiイオン2次電池の供給を決めている。三洋電磯はホンダと米フォード・モーター社にもそれぞれNi水素2次電池を供給しており、その関係はLiイオン2次電池でもそのまま引き継がれる可能性が高い。
日本のエレクトロニクスメーカーと世界の自動車メーカーがそれぞれ手を組んで、Liイオン2次電池をめぐる開発・量産化競争が始まっている。

リチウムを超えるものは現時点では考えられない

重要なことは、2次電池の材料としてリチウム(Li)を超えるものは現実的に考えにくいということである。
リチウムは元素番号で言えば、水素(H)、ヘリウム(He)に続く軽さであり、しかも金属で安定しており、電子を出し入れする容量も大きい。
元素レベルから考えて、将来的にもリチウムを超える物質が登場するとは考えにくい。
将来的にLiイオン2次電池を超えるものが出てくる可能性はゼロではないが、出てくるとしたら今までの電池とは全く原理が違うものになるに違いない。
いずれにしても現時点では有力な代替材料は見当たらないため、少なくとも今後10年はLiイオン2次電池の時代が続くことは間違いない。

Ni水素2次電池に比べて、Liイオン2次電池は様々な優位性がある。 自己放電が非常に少なく、メモリ効果と呼ばれる繰り返し充電に伴う劣化が少ない。
さらに小型・軽量、大容量である。性能面だけを評価すればLiイオン2次電池の方が圧倒的に優れている。だが、トヨタ自動車の「プリウス」の新型(第3世代)で使われているのはNi水素2次電池である。 トヨタ自動車がLiイオン2次電池の採用に積極的ではない理由は、ひとえに「コスト」が高いからだという。 
Liイオン2次電池の製造にはレアメタルの一種であるリチウムが必要である。世界的にもリチウムの生産量は限られる上に、将来的には価格の上昇が予想される。
コスト面での競争がメインになるだろう。
画像の説明

普及の最大のネックになっているのが、充電時間の長さである。
自動車用で使うLiイオン2次電池をフル充電するには、一般的に100Vで一晩かかる。急速充電を使えば数十分~1時間程度で済むが、それでもガソリン補充にかかる時間とは比べ物にならない。
ただし「ガソリン車のように航続距離が500km位にならないと使い物にならない」という議論は全くのナンセンスだ。ノンストップで500km走らなければならない状況は現実にはまず考えられない。単純に言えば、1回の休憩を2回にすれば済む話である。
 充電に必要な時間もどんどん短くなっており、日産自動車が発売した電気自動車「リーフ」では、充電10分当たり50km走るとされている。
2次電池そのものは5分以下で90%充電が可能なものも出てきており、将来的には5-10分でフル充電ができるようになるのはほぼ間遠いないと考えられる。
コンビニエンスストアに立ち寄ったときやパーキング中など、「すき間時間」に充電するという新たな習慣ができてくるだろう。
ガソリン車のようにスタンドに定期的に寄るという習慣さえなくなる可能性もある。 そもそもガソリン車と前提が違うのは、電気自動車は家で充電できるので出発するときは基本的に満タンだということである。
電池切れを心配する人は多いが、ガス欠が起こるのはガソリン車も同じである。
むしろ電力網は既に全国に張りめぐらされているので、どこでも充電できる。
充電時間が短くなれば航続距離が半分しかなくても問題はなくなるだろう。
ガソリン車時代の前提や既成概念を無理やり当てはめてはいけないのである。

次世代Liイオン2次電池「SCiB」

Liイオン2次電池を自動車などで使う上で、もう一つの大きな問題は安全性であった。
過去にパソコンなどで発火事故が相次いだこともある上、自動車は人命にかかわるだけに安全面のハードルが高かった。 ただ、材料の工夫で安全性や寿命の問題は解消されつつある。
 東芝は2008年3月から「SCiB(Super Chargeion Battery)」と名付けた、新型Liイオン2次電池の量産を
開始した。この新型電池は、これまでLiイオン2次電池の弱点といわれていた問題をほぼ解決している。
SCiBの特長の一つは、50Aという大電流で急速充電ができることであり、わずか5分間で90%以上の容量が回復できる。
出力密度も3900W/kgと業界最高水準を達成し、ハイブリッド用の新型で最短1分半というごく短時間での充電が可能になった。 数分というレベルで充電ができるようになった意味は、極めて大きい。
多少航続距離が短くても、その分小まめに充電することで実用上は十分カバーできるからだ。
Liイオン2次電池では負極材料には一般的に炭素(グラファイト)が使われるが、SCiBではチタン酸リチウムが使われている。負極の材料が変わったことで電極を浸す電解液を引火点の高いものに変えることができるようになり、安全性を格段に高めることができた。
通常のLiイオン2次電池は、もしケースが破壊されれば一瞬で放電されるため、それが発火の原因になるが、SCiBでは完全に放電するのに15分程度かかるため、原理的に発火しないとされている。
SCiBは電池容量の劣化も非常に小さく、寿命が長いのも大きな特長だ。通常のLiイオン2次電池は500回程度で性能が劣化するのに対して、SCiBは急速充電と放電を3000回線り返しても電池容量の減少は10%未満に留まり、1万回以上も使用できる。
これは、1日1回の充電で20年以上繰り返して利用できる計算になる。
2次電池はフルの状態からある程度放電すると、その後出力は徐々に下がってくるのが一般的だが、SCiBでは高出力を推持できるレンジが広く、その分バッテリーのサイズを小さくすることも可能になる。-30℃でも80%以上の放電容量を確保しており、寒冷地での使用も可能という優れものだ。

電気自動車については、世界中のあらゆるメーカーや研究機関が開発に取り組んでいる。
ただし、残念なことに、現在の各自動車メーカーは特定のエレクトロニクスメーカーと手を結んでしまっているため、SCiBのように他で画期的な電池が出てきても使うことができないという現象も発生している。
SCiBは、耐久性や低温での動作性能にも優れており、現状ではまだ割高であるものの、特別高価な原材料を使っているわけではない。生産量が拡大すれば解決する問題と考えられる。
重要なのは、既に量産技術が確立されており、実際に手に入る状態になっていることである。
SCiBに限らず、このレベルの新型2次電池が2~3年以内にスタンダードになるのは間違いないだろう。

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