ビジネスチャンスと課題
ビジネスチャンスと課題
これからのビジネスを考える上での課題
「手離れ」から「手を放さない」へ
成熟期に入り、モノで差別化することが難しく、かつ限られた顧客を分け合わなくてはならない時代となり、量的拡大に頼るビジネスモデルは行き詰る。個々の顧客と深い関係性を構築し、モノが売れなくても「サービス」で収益を確保できる仕組みを創ることが、将来の経営を安定させるという点で非常に重要になっている(CRM: Customer Relationship Management)
テクノロジーの集積と複合化
装置さえあれば生産できるものは、最終的には人件費と土地代が安い新興国が優位にあり、「利益なき繁忙」があるだけで我々に勝算は見えない。 我々が生き残るためには、異なる分野の技術を「複合化」することで新たな付加価値を創出することが必要。 我々はブロードバンド先進国としての“先行者利益”を活かし、メカニクス,エレクトロニクス,コンピューティング等を有機的につないだ「ロボトロニクス」等の「集積産業」を目指す必要がある。
「グローバル戦略」から「マルチナショナル戦略」へ
世界を一つの大きな市場と捉えた「グローバル戦略」は、米国パワーの衰退から「多極化」「ブロック化」が進むと通用しなくなる。 効率重視の画一商品,画一戦略では、“多様化”し始めた世界の動きに受け入れなくなる。 “日本企業“というアイデンティティーをしっかり確保しながらも、各地域のホームグラウンドにしっかりと「根付く」ことが重要である。 最大の経営資源であるべき「顧客情報」は一元的に管理しつつも、各地域の異なる価値観(ニーズ)にきめ細かく対応する必要がある。
事業開発の重要性
勢いのある企業には「新しいことに、恒常的に挑戦を催す仕組み」がある。 何十億円も掛けた研究成果が事業化するフェースではその何十分の一しか予算が割かれず、人知れず消えていくパターン多く、新しいビジネスを構築するという仕組みが欠けている企業が多い。 企業の中には技術だけでなく、資金や人材、ブランド、顧客など、様々な経営資源があり、これらを活用して新しいビジネスを構築する仕組みを持つことが重要である。「既存事業」と「事業開発」は切り離す運用が必要。
「単独企業戦略」から「パートナー事業戦略」へ
ブロードバンドの存在が当たり前となり、プラットフォーム・ビジネスの重要性が増している。 このプラットフォーム・ビジネスでは、他企業とのパートナーシップが不可欠となる。 業界の異なる企業が互いの強みを出し合い新たな付加価値商品,ビジネスを生み出したり、互いの顧客を共有することにより、全体の業績底上げが期待できる。 誰とパートナーシップを組むかで競争力も一変する為、パートナー選定は極めて重要な経営判断となる。(PRM:Partner Relationship Management)
新しいニーズへの対応
21世親産業皿、次世代技術の活用や既存貴需の再清算によって、社会の新しいニーズに対応することで誕生する。例えば、人口の減少が始まることで、労働力の減少や少子化、さらには高齢化の間■が巨に見える影響となって現れてくる。これが税収の減少へとつながり、公共事業の削減、小さな政府の推進、そして見学化の動きへと、動かし難い大きな流れとなっていく。子供が少なくなれば草枕の統廃合が始まり、蘭齢暑が増えれば当然アンチエイジング(老齢化防止〕などへのニーズが増えるだろう。また、グローバル化の進展によって、人・モノ・カネの交流が活発化する一方で、移民の増加やテロリズムなど、新たな社会不安も増大する。健康や安全面への不安といった個人レベルのことから、食料やエネルギー確保といった国家レベルのことまで、これまではあまり心配する必要がなかった間是も噴出する。
■一方、今後新しい技術も次々に空揚してくる。特に期待されるものとして、第9章ではブロードバンドヤフイルムディスプレイ、LED、スマートグリッド、ナノカーボン、暮佳子組み襲え技術やゲノム医療など、様々な分野の技術をできるだけ幅広く取り上げた。これはほんの一端であり、これ以外にも20世紀の「甘■」を覆すような、様々な次世代技術が登場するだろう。
薪Lい環境/条件(ブロードバンドとサステイナビリテイ)の中でこれらのニーズに応えるには、業界を超えた躍甘資源の再♯築が必要である。21世紀産業へ転換するには、「蔽壌的な創造」が避けて通れない。産業ヤ業界のフレームワークが変わる「産業の榊成」である。
■耕産業は複合サービスに向かう。サービス化を進めていくということは付加価値や顧客接点を拡大するということであり、資源の制約を受けずト規模や敢暮に頼らない傾向が強まる。
■基幹産業場外でも、様々な分野で新しいビジネスの潮流が生まれてくる。ここでは特に注目される潮流として、「アクティブシニア」「少子化」「コンシェルジュ」「低所得者■向け」「コミュニティー」「観光文化」「安心安全二「防衛」「環牲」「ロボット」という10の切り口を取り上げた。
この中には新しい社会ニーズによって誕生するビジネスもあれば、新技縞の登場をきっかけに出てくるビジネスもある。
新産業を生み出すのは「革新的なアイデア」
■新産業が生まれるきっかけには、これまでの技術を複数組み合わせるケースもあるし、他の分野にある既存の技術を導入するケースもある。かつて自動車産業が発展のきっかけを掴んだのは、精肉工場で使われていたベルトコンベヤーだ。流れ作業を自動車の生産に応用したことで、量産化システムが生みだされたのである。21世紀産業の成否も、こうした組み合わせをいかに実現するかにかかっている。
■ここで重要なのは、技術のみで新産業が形成されるわけではないということだ。たとえどんなに優れた技術であろうとも、社会がそれを必要としていなければ、ビジネス上での価値はゼロである。これは当然のことではあるが、実際は投資の現場でも、技術的な評価や特許だけで価値を判断しようとする傾向は依然として強い。技術は新しいビジネスを生み出す一つの要素に過ぎない。重要なのは世の中のニーズに応えることだ。そのためにまずやるべきことは、本業を新しい社会の条件やニーズに対応させることである。そこで重要なのは「新しい発想」であり、技術は新ビジネスの必要条件ではない。
■それと共に、技術をどう使うかという用途開発や企画力が重要であるということを忘れがちである。企業の中でも開発者は内にこもる傾向が強いが、先端技術の開発者こそ外に目を向け、広い視野から世の中の流れを読むペきである。
■横串である「次世代産業」という観点から考えると、様々な異業種が連携する可能性が浮き彫りになる。例えば健康な高齢者のニーズに応える「アクティブシニア産業」であれは、精密機械と通信分野の会社が連携して、ネットワークを使った健康管理システムのサービスを立ち上げたり、不動産会社と小売り分野の会社が組んで、買い物が便利な高齢者用マンションを建てたりといったことも考えられるだろう。現在形作られている「業界」は20世紀社会のニーズに基づいたものである。 これから重要なのは、業界を超えて、経営資源を掛け合わせる「新しい発想」だ。そのためにもいろいろな分野の技術を見ていくことが大切なのである。
■特に、装置さえあれば造れるような単品技術では意味がない。付加価値を出すには、幅広い分野の先進技術を組み合わせて重層化することが不可欠だ。先進国では装置産業(=資本集約型産業=単品による量的拡大ビジネス)は難しくなる。この分野は資金力を持ち始めた新興国の独壇場となるだろう。