レアメタル
レアメタル
レアメタルとは?
経済産業省では現在、31種類をレアメタルと定義している(レアアースは17元素をまとめて1鉱種として数えている)。
「レアメタル」とは日本独自の呼称である。近い呼び方としては「マイナーメタル」や「ノーブルメタル」という呼称があるが、イコールではない。
日本にはエレクトロニクス関連企業が集中しているため、世界全体の産出量の約1/4を消費しているといわれる。
レアメタルはその名称から埋蔵量が少ないというイメージがあるが、それだけではない。
放射能の問題などで生産が困難だったり、山の上など採掘が困難な場所にあるものも含まれる。銅・鉛・亜鉛といったベースメタルの副産物で生産されるものも少なくない。
副産物の需要が伸びても、主産物の相場が低迷している場合には掘らないこともある。
レアメタルの特徴は、一部の国に極端に偏在しているケースが多いということである。
例えば白金(Pt)は全体の埋蔵量のうち9割以上を南アフリカ共和国が、タングステン(W)は同7割近くを中国がそれぞれ保有している。
リチウム(Li)ではチリ、ボリビア、アルゼンチンの南米3カ国で同8割を占めている。生産量が限られるうえに、このように上位数カ国で世界全体の埋蔵量の大半を占めるケースが多い。
レアメタルは市場規模が小さいため、外的変化の影響を非常に受けやすいという特徴がある。
技術革新によって材料が別のものに置き換わるケースもある。そのときには従来の材料はあっという間に不要となり、価格が急落してしまう。 これは、供給側にとっては開発に大きなリスクを伴うということでもある。
石油や石炭などとは異なる、レアメタル特有の開発の難しさといえるだろう。
レアメタルはにどのようなところで使われているのか?
携帯電話機やデジタルカメラ、パソコンなど、主要な電子機器には、必ずといっていいほどレアメタルが使われている。
例えば、自動車の排気ガスを浄化する触媒に使われる白金、ハイブリッド車の高性能モーターに欠かせないネオジム(Nd)やジスプロシウム(Dy)、液晶パネルの電極に使われるインジウム(In)、ハードディスクの材料になるルテニウム(Ru)、2次電池に使われるリチウムやニッケル(Ni)、コバルト(Co)など、エレクトロニクスや自動車産業の根幹に関わる材料は全てレアメタルである。
代替材料の研究は盛んに行われているが、限界がある。
特に、触媒など元素レベルの化学的性質に関わるものは代替が難しい。
例えば、貴金属の白金は自動車排気ガスを浄化するための触媒として欠かせないものであるが、いまだに有力な代替材料は見つかっていない。
エレクトロニクスで特に重要なレアケース
レアアースは、「ランタノイド」と呼ばれる希少金属と、スカンジウム(Sc)とイットリウム(Y)を加えた17元素の呼称である。
例えば、ハイブリッド車のモーターには強力な希土類磁石が使われるが、そこではネオジムやジスプロシウムが添加されている。
赤色や緑色を出す蛍光体にはユウロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)、光磁気ディスクにはテルビウムなどが使われている。
特に「オール電化」の時代には、高性能なモーターは最も重要な部品になる。
電気自動車の動力性能を左右することはもちろん、工作機械やロボットなどの制御にもモーターは欠かせない。 モーターは高性能であるほど小さな電力で大きなパワーが出せるため、省エネ性能を大きく左右する。強力な磁石を作るためにはレアアースが欠かせないのである。
主としてレアアースを生産する「レアアース鉱山」というものは存在せず、基本的には副産物として産出される。
現在、中国がレアアースの世界生産量の100%近くを占めている。中国の埋蔵量は世界全体のおよそ6割と推計されており、そのほかには米国、ロシア、オーストラリアがレアアース資源のポテンシャルがあるとみられている。
だが、レアアースは生産に伴って大量の残渣が発生するため、環境破壊が付きまとう。レアタメルを含む鉱床には、微量ではあるが放射能元素が含まれるという問題もある。
レアメタルを確保できる量で生産量が決まる可能性も
需給逼迫に加えて、将来的に値上がりを見越した投資資金が流入したことで、レアメタルは価格上昇が続いている。
例えばニッケルはステンレス鋼の原料であるが、経済成長に伴う建設需要の拡大によって需要が拡大した。
ロンドン金属取引所でのニッケル相場は2003~2007年には一時、約7倍に跳ね上がった。
世界経済の低迷で現在レアメタルの価格はやや落ち着いているものの、例えばジスプロシウムの価格は2003年と比べて5倍以上に上昇している。
現在、世界におけるリチウムの年間生産量は2万t余りで、そのうち世界全体の埋蔵量はリチウムメタル換算で約1300万tと推測されている。
仮に電気自動車1台当たりに15kgのリチウムが必要だとすると、世界全体で新車販売台数を全て電気自動車にするためには、年間約70万t以上が必要となる。現在の約10倍もの規模で増産するのは現実的には不可能に近く、たとえ全てを掘り出せたとしても20年足らずで資源が枯渇する計算になる。
実際には新興国の伸張で世界全体の自動車出荷台数は2倍近くまで増える可能性が高いし、電動スクーターなど新しいモビリティーの分まで考えると、必要な量はさらに増える。
このままいくとリチウムの供給が逼迫するのは明らかであり、少なくとも供給が追いつかなくなるのは間違いないだろう。
今後はリチウムをどれだけ確保できるかで最終製品の生産量が決まる、という状況も想定される。
レアメタルは石油よりはるかに偏在しており、資源量も限られている。ほとんど代替も利かない。だからこそ重要なのである。
20世紀の世界を動かしてきたものはメカニクス=「石油」であった。それが、今後はエレクトロニクス=「レアメタル」をめぐる争いへと変わるだろう。
下図は、米国地質調査所(USGS)が公表している主なレアタメルの産出国別のシェアである。
だが、実際のところ可探年数はほとんどあてにならない。レアメタルの需要は石油や天然ガスのように安定したものではない。
技術革新や需要動向が変われば、可採年数は大きく動く。例えば、リチウムの資源量はつい最近まで200年分以上あるので問題がないとされてきた。
だが、電気自動車や電動バイクが登場して現在の何倍もの需要が生まれると、この限りではなくなる。
価格が上昇すれば採算ベースに乗る鉱床も増える。さらに、資源は掘り進めながら周辺を探索するのが一般的だ。中央アジアや中南米、アフリカなど、調査が進んでいない地域はたくさんある。
発言力を高める資源保有国
米ドルという「貨幣」の価値が播らぐことは、逆に言えば「実物」が拠り所として見直される可能性が高いということでもある。
インドの本格的な経済成長をきっかけに、実需としても資源需要が飛躍的に伸びるのは確実である。
「サステイナビリテイ」への注目が世界的に集まる中で、資源の有限性に対して嫌でも目が向けられる。
これからは「持てる国」が圧倒的優位に立つだろう。
代表的な資源国はロシアである。
広大な国土を保有し、原油の生産量ではサウジアラビアに次ぐ世界第2位、天然ガスでは世界トップである。
ロシア政府は国営企業であるガスプロム社を中心に、国内における資源開発プロジェクトでは強権的とも言える手法で外資系企業を排除するなど、「資源ナショナリズム」の姿勢を強めている。
エネルギー資源を武器として、CIS諸国(旧ソ連の構成国)やEU諸国との交渉で有利なポジションを築きつつある。
様々なレアメタルの供給国である中国でも「資源ナショナリズム」の動きが加速している。
当初は還付金をつけて鉱物資源の輸出を奨励していたが、2004年ころからこの制度を次々に廃止し、逆に最近は輸出税を上げ始めている。
さらに、2007年11月には外資系企業(合弁を含む)がレアメタル探査・採掘への投資に関わることを全面禁止した。
これに対してEUと米国は、2009年6月に「中国が国内向けよりも高い価格でレアタメルなどを輸出しているのは輸出制限に当たる」として、足並みを揃えてWTOへの提訴に踏み切った。
これに対して中国は、「輸出規制は環境や資源保護が目的」と強く反発し、その2カ月後に情報工業省がレアアースの輸出制限や、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イットリウム(Y)などについては全面輸出禁止を示唆する報告書をまとめるなど、対決姿勢を強めている。
この背景には、資源を囲い込むことでエレクロニクス系企業を国内に誘致したいという狙いがあるとみられる。
ベネズエラ、ボリビア、エクアドルといった中南米の国々も「資源ナショナリズム」の姿勢を強めている。
この背景には「反米」、米国主導のグローバリゼーションへの抵抗という意味が強く含まれている。
南米における反米の筆頭は、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領だろう。チャベス大統領は国内における全ての石油・天然ガス プロジェクトの「国有化」を宣言し、命令に従わない外資系企業には国外退去を命ずるなど、強硬姿勢でエネルギー分野での支配力を強めている。
このような資源開発における外資系排除の動きは、ボリビアやエクアドルにも波及した。
他方、ボリビアでは世界有数の炭酸リチウム資源を武器に、技術移転や雇用拡大を狙って外資系メーカーの誘致に乗りだしている。
中国では2007年から、青海省で年間5000t規模でリチウム(Li)の生産を開始している。
国内でもリチウムは産出するものの、自動車用のバッテリーに使えるほど品位が高いものは限られている。
中国はバイオエタノールでエネルギーを賄えるほど農業生産に余力はなく、次世代は電気自動車になる可能性が高い。そうなると、中国はリチウムの輸出を蕪止し、「戦略物資」として温存を図るとみられる。
資源国が国内需要を優先するのは当然であり、輸入頼みでは入手が困難になるレアメタルはさらに増えるだろう。
「資源ブロック」の形成へ
米ドルの凋落に伴って通貨(=経済圏)が多極化し、それと並行して、資源を囲い込むという意味でも「ブロック化」は進んでいくことが予想される。
これからの時代は、「世界の人々が求める全ての量を満たすだけの資源がない」のが前提となる。
足りなければ世界中の人々が少しづつ我慢して、平等に分け合うというのが理想的ではあるが、現実には豊かな国が自らの財産を貧しい国に分け与えて、世界を同じ所得水準にしようとはしない。
それと同じように資源や食料についても、足りなくなった場合は、まずは自国民が最優先であり、その次は仲間内である友好国、それでもまだ余裕があれば「世界」に高値で売る、となるのがむしろ普通の対応となるだろう。
冷戦終了後の世界は、米国が唯一の超大国として君臨し、その絶対的な軍事力によって国際秩序が保たれることを前提としていた。
「自由経済」は米ドルが基軸連貨として世界中に信頼され、国際取引の決済で使われることを前提に成り立ってきたのである。
だが、大型兵器はテロには無力ということを世界に露呈し、ハイテク化が進んだ軍事力はお金がなくて動かせないというジレンマを抱えた。
警察国家が不在という状態が続く中、金融危機によって米国は経済的な信用をも低下させ、世界経済の「胴元」としての立場を降りざるを得なくなったのである。
絶対的リーダーが不在になったことで国際的な不安が高まり、国家間の同盟・連携を加速する要因になる可能性が高い。
そこで新たな「軸」となる可能性があるのは、豊富な資源を持っている国々である。
ベネズエラなどが南米統合構想(ALBA)を提唱しているのは、米国主導のグローバリゼーションに対する抗議である。
「自由貿易」という言葉の響きは良いが、資源国の立場から言えば、自分の身を削るように資源を安い価格で売り渡し、先進国から高付加価値商品がどんどん売りつけられ、しかも「自由」だから輸出規制することも許されないということなのである。
米国が提唱する「自由」や「グローバリゼーション」とは、結局のところ資源の搾取と市場の植民地化でしかなく、資涯国が反発するのは当然の成り行きと言える。
工業製品の生産は、様々な資源で成り立っている。
例えば、車のボディには軽くて強度が高く熟にも強い材料が求められる。
これは、鉄(Fe)にニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)、タングステン(W)などの元素を添加した鋼(特殊鋼)が使われる。
硬いボディを削ったり加工したりするための工具には、コバルト(Co)やチタン(Ti)などを添加して硬度を高めた鋼が使われる。
これらは全て「レアメタル(希少金属)」と呼ばれるものである。
携帯電話機やデジタルカメラ、パソコンなど、主要な電子機器では必ずといっていいほどレアメタルが使われている。
日本では世界全体の1/4のレアメタルを消費している。
レアメタルは極端に偏在しており、上位数カ国で埋蔵量の大半を占めることが珍しくない。
例えば、タングステンの埋蔵量のうち9割以上は中国が保有している。
バナジウム(Ⅴ)については、南アフリカ、中国、ロシアの3カ国で98%を占めている。
液晶を製造する際に欠かせないインジウム(In)は、ごく最近まで日本に世界最大の鉱山があったが2006年までに採りつくしてしまい、現在は全面的に輸入に頼っている。
日本ではニッケル、クロム(Cr)、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン(Mn)、バナジウムの7種類を対象に国家備蓄を行っている。2009年からはインジウムとガリウム(Ga)を新たに備蓄対象として加えた。
レアメタルは、単に絶対量が少ないものだけではなく、作りにくかったり、作るのに途方もない手間がかかったりするなど、様々なタイプがある。
いずれにしても、入手しにくい物質であることは共通だ。極端に偏在しているものが多いことも、レアメタルの特徴である。
仮にコスト無視で全て掘り出したとしても、20~30年のスパンで枯渇する可能性があるものも少なくない。
例えばハイブリッド車のモーターや、小型で高性能なヘッドフォン、ハードディスクのヘッド部など、小さくて強力な磁石を必要とする部分では、「ネオジム(Nd)磁石」と呼ばれる希土類磁石の一種が使われている。これは、現在実用化されている磁石の中で最も高性能な磁石である。希土類は「レアアース」とも呼ばれるレアメタルの一種で、ネオジムなど17種類の元素の総称である。ネオジム磁石を生産するにはレアアースが必要となるが、その産出は中国が全世界の90%以上を占めている。
つまり、中国がレアアースの出荷を拒んだ瞬間に入手が困難になり、最悪の場合、自動車や電子機器の生産がストップするということなのである。
レアアースは鉱石の中にごく少量しか含まれないばかりか、製錬には大量の土砂と強烈な薬品を必要とし、生産の過程でおびただしい量の残渣(ごみ)が生じる。
環境に深刻な影響をもたらすレアアースの生産は、世界の中でも中国くらいでしかできないというのが実情なのである。
レアメタルの中でも、最も注目されるのが「リチウム(Li)」であろう。
リチウムの資源には塩湖かん水と鉱石の2種類があり、両方を合わせた資源量は金属リチウム換算で約2916万tと試算されている(石油天然ガス・金属物資機構の試算結果などによる)。
リチウムには金属リチウムのほか、塩化リチウムや炭酸リチウムなど化合物の種類が幾つかある。そのうち2次電池などで用いられているものは炭酸リチウムであるが、世界の埋蔵量のおよそ半分がボリビアにあるとされている。
日本では、これまで「リチウムの資源量は200年以上あるので問題ない」と楽観視してきたが、これはあくまでも携帯電話機やパソコンなどに使っている量をベースにした試算であった。
だがリチウムは軽くて電子を最も効率よく溜め込める元素であり、2次電池で使用する物質としてこれ以上のものはない。実際、現時点での2次電池は、Liイオン2次電池を超えるような有力な候補は出てきていない。一般的に、新しいものが商品になり量産技術が確立してコストダウンが進み、世の中に普及するまでには最低でも10年はかかると言われている。
つまり、少なくとも10年は電気自動車やハイブリッド車向けの電池はリチウムが主流であり、その需要は飛躍的に伸びると考えるペきだろう。
自動車1台当たりの2次電池は、ノートパソコン用のものと比べても数十倍から数百倍の容量が必要になる。
世界の新車販売台数は年間約6000万台とされているが、これから中国やインドで自動車需要が伸び続けると、台数だけを考えれば1億台を超える可能性もある。最終的にそのうちの何割かが電気自動車やハイブリッド車になるとすれば、200年あるといわれていた資源はどれだけもつのだろうか。控えめに見積もっても、10倍の量は必要になるため、20~30年が精一杯というところだろう。
自動車以外でもうーつ、注目されるのは「電動スクーター」である。
一般にはあまり知られていないが、中国だけでも年間2000万台も生産されている。現在は主にNi水素2次電池が使われているが、やがてLiイオン2次電池に置き換わっていくのは時間の問題だろう。
原油価格の上昇や環境意識の高まりなどを背景に、電動スクーターに端を発して、小型の電気自動車やこれまでのカテゴリーには当てはまらない「電動モビリティー」へと発展し、各国で普及が始まる可能性がある。
実際にどれだけ生産できるかも心配だが、これから各国でリチウムの争奪戦が始まるのは必至ではないだろうか。
「資源ナショナリズム」へ
シリコン(Si)をめぐっては、既に材料の熾烈な争奪戦が始まっている。
これまで太陽電池の全世界の生産シェアはシャープや三洋電機が長年トップに君臨し、日本が大きく先行していた分野であった。
しかし、2007年は独Qセルズ社や米国企業に追い抜かれ、シャープは世界3位に、三洋電機は5位にまで落ち込んでしまった。シャープが順位を落とした要因の一つは、材料であるシリコンの調達に失敗したためだという。太陽電池と半導体LSIはそれぞれ原料としてシリコンを使用しているが、そのシリコンは各メーカーで取り合いの様相を呈している。LSIは付加価値が高いため、太陽電池メーカーより高い値段でシリコンを買いつけることができる。さらに、Qセルズ社は廃材量の需給逼迫を見越して、シリコンの供給会社と長期の調達契約を結んでいたのである。しかし、シャープはお金を支払えば原料はいつでも調達できると考えていたようで、計画通りに原料を確保できないという事態に陥ってしまったとのことだ。
資源ナショナリズムが強まる中で、資源国ではレアメタルを「戦略物質」とみなし、輸出を容易に認めなくなってきた。
中国では、2007年に外資系企業によるレアメタル探査・採掘への投資を禁止項目に加えた。
さらに2009年6月には、米国とEUが協調して、中国が工業原料となるレアメタルの輸出を不当に制限し、国際価格の上昇を引き起こしているとしてWTO(せ界貿易機関)に提訴するなど、国際的にも緊張感が高まっている。
中国に続いてインドが伸びてくると、「資源が足りない」という現実に嫌でも向き合わなければならなくなる。
リチウムのほか、コバルト、ニッケル、白金(Pt)、レアアース類などの調達がまず厳しくなってくる可能性が高い。エレクトロニクス産業(自動車を含む)は、原料が手に入らなければ始まらない。レアメタル確保が難しくなると、各メーカーは現地に拠点をつくり、安定調達を図ろうとするだろうが、それでも調達が保証されるわけではない。
原料ではなく、付加価値の高い加工品でしか輸出を認めなくなる可能性もある。
地球上に存在する量が決まっている以上、資源はますます貴重なものになっていく。特定の国でしか採れないレアメタルは、石油よりもはるかに希少な資源である。
産油国が自らの権益を守るためにOPEC(石油輸出国機構)を結成したように、連合を組んでレアメタルの囲い込みを行う可能性も十分にある。
石油の場合は、バイオエタノールなど代替の可能性が少なからずある。だがレアメタルは、最近になって政府主導で代替材料の研究を始めたが、代替の可能性があるものはごく一部である。
産油国と同様、これからは資源を持っている国が強い。
「資源ナショナリズム」が世界のパワーバランスを大きく変えていくことになる可能性が高い。