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医療技術・バイオテクノロジー

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医療・バイオテクノロジー

遺伝子情報の解明がもたらすインパクト

バイオテクノロジーは、今後飛躍的な進歩が期待できる分野の一つである。
それは、21世紀において生命の神秘である遺伝子(ゲノム)にたどり着き、その解読に成功したことによる。
これは、人類の歴史の中でもエポックメーキングな出来事である。
これによって、ゲノム診断やゲノム治療、再生医療というかたちで画期的な医療技術が次々に登場すると思われる。 今後は他の動植物や微生物についてもゲノム解析が進むことで、将来的には特殊な機能を持った野菜を作ったり、自然界では考えられなかったような大量生産ができるようになるかもしれない。ゲノム解析は、まだほんの入り口に差し掛かったところに過ぎない。

医療技術は着実に進歩しており、ゲノム医療を考慮に入れなくても2020年ころにはガンの治癒率は7割を超えるという見通しもある。 5年後には「遺伝子診断」の普及が始まり、対症的なデータに基づいて経験と勘で診断する従来の方法から、個々人の遺伝子を事前に比べてオーダーメードで治療を行うスタイルが一般的になるだろう。
 遺伝子を解析することで病気になるリスクを予測したり、近い将来的には遺伝子レベルで治療することで発症を完璧に防いだりすることも可能になる。その際には、ナノテク素材を活用した「DDS(ドラッグデリバリーシステム)」が大活躍する。ガンや脳卒中、糖尿病、心臓病など、遺伝的要素が強いとされる病気では、そのかなりの部分を克服できる可能性が出てきたのは確かである。

「iPS細胞」を作る技術が実現したことで、再生医療は新たなステージを迎えた。
iPS細胞はどんな細胞にでも分化できるため、理論的には組織や臓器でも人為的に作り出すことができる。
例えば、造血幹細胞へ誘導すれば、赤血球や白血球、血小板を生成して、安全な輸血を行ったり血液製剤ができたりするようになる。遺伝子の研究が進めば臓器を自由に作れるようになり、全く拒否反応がない「臓器のスペア」を手に入れることも可能になる。iPS細胞を活用した再生医療が定着すれば死亡率は劇的に低下する。これにより、予測をはるかに上回る超長寿社会を迎える可能性も現実味を帯び始めた。

不老不死の薬さえ、もはや夢物語ではなくなってきた老化に伴って体内で糖がたんばく質と結びつき、そこからAGE(糖化最終産物)と呼ばれる物質が作られること、そしてこのAGEは、老化現象に深く関わっている可能性が高いことが最近の研究で分かってきた。
そこで、AGEの蓄積を抑制するアミノグアニジンや、蓄積したAGEを分解する薬などの開発が進められている。
動物実験では既に様々な老化現象を抑制することが実証されており、これから数年以内に画期的な老化防止薬が開発される可能性が高まっている。
ゲノム研究が進む中で老化のメカニズムが解明されるのは時間の問題だろう。
遺伝子組み換えの安全性はいまだ確認されていないことから、農作物への応用に対する不安の声は強い。 だが、GM作物(遺伝子組み換え作物)の作付け割合は急激に伸びており、今後も生産量が拡大するのは確実だろう。
バイオテクノロジーによって、農薬が従来の1/10で済むような品種や、特定の病気に強い耐性を持つ作物などが実際に生まれている。特に日本は、食料自給率がカロリーベースで41%(2008年)、穀物自給率は28%という現状を考えると、「食料ナショナリズム」が深刻化すれば現実的な選択肢は限られる。「GM作物を利用するか否か」よりも、「いかに安全性を確保するか」にテーマが移っていくだろう。

バイオテクノロジーによって、胃がんや胃炎などのもとになるピロリ菌対策のヨーグルトなど、加工食品では生活習慣病や老化防止の機能を待ったものが既に出てきている。ゲノム解析が進めば、遺伝子組み換えによって特定の栄養を強化した野菜や、健康維持に役立つ機能性を持った肉なども出てくる。それを選ぶかどうかは消費者の判断である。

遺伝子組み換え技術は食糧生産に限らない。遺伝子を操作した植物や微生物を使って、バイオ工場でエネルギー物質や工業原料などを生み出すことも可能になる。遺伝子組み換えに対する安全性のハードルは食料ほど高くないため、生産効率を高めるために、むしろ積極的に使われるだろう。
 遺伝子組み換え技術によって、畜産業では既に大きな変化が始まっている。米国では2009年から体細胞クローンを使った牛肉が解禁になった。体細胞クローンは受精卵クローンとは異なり、全く同一のDNAを持った牛を大量生産できるため、「品質」が確実に約束された牛を安定供給することが可能になる。ただし、この技術を続けると種の多様性が失われ、特定の疾病で全滅するリスクが高まるなど持続性の問題が出てくるだろう。
世界初のクローン羊「ドリー」を生み出したスコットランドのロスリン研究所では、薬の有効成分となるヒトの血液凝固因子を発現する遺伝子を胎子の細胞に導入したクローン羊「ポリー」の誕生にも成功している。遺伝子組み換えは大きな可能性を秘めた技術であることは間違いないが、倫理的な部分も含めてその使い方が今後も問題になるだろう。

「植物工場」とは、コンピューター制御によって、施設内(もしくは半閉鎖的な空間)で自動的に植物を栽培できるシステムである。安全性の高い農作物を、できるだけ人手をかけず、短期間で大量生産できる方法として将来への期待が高まっている。
植物工場の野菜は、一般に露地栽培晶や施設栽培品よりも3~5割は値段が高いとされていた。だが、1年中安定して出荷できる上に気候による影響も受けないため、年間を通して考えれば必ずしも高いとは言い切れなくなっている。
実際、台風が続いた年には露地栽培品の価格を下回った事例もある。
発光効率が高いLEDの登場など技術革新とコストダウンが進んでおり、初期投資やランニングコストは今後、大幅に下がる余地がある。
 魂在は工業的生産=人工的と、どちらかと言えば否定的なイメージが強い。
だが、環境汚染などに対する意識が敏感になれば、工場での栽培ではあるが安全が保障されて完全に無農薬なものと、自然環境で育てられてはいるものの汚染のリスクにさらされて大世の農薬を使ったもののどちらが良いか、個々人の価値観で判断は大きく変わってくるだろう

様々な企業が植物工場に参入

植物工場の現在の生産量は、まだ全体の1%にも満たない。
だが最近、いろいろな分野の企業が次々と参入してきている。
代表的なのは、鉄鋼大手のJFEグループが新分野進出の一環として手掛けているハイテクレタスの栽培だろう。植物工場の栽培では土を使わず、肥料を溶かした水で育てる。肥料やCO2の量はコンピューターによって管理される。露地栽培のおよそ半分(45日間)で出荷が可能であり、年間を通して栽培できるため最大28毛作が可能とのことである。
植物工場で農作物に含まれる細菌数は一般の野菜の1/100以下であり、日持ちが良いのが大きな特長である。無農耕栽培も可能である。
 キューピーでは、1998年から福島県・表郷村に「TSファーム」という大規模な植物工場を操業している。三角パネルと噴霧耕を利用した「立体水耕栽培」と呼ばれる独自の方法で、無農薬のサラダ菜やリーフレタス、ホウレンソウハープなど生産している。密閉空間で人工光を使っているため日照時間や天候に左右されず、安定的な供給が可能である。洗わなくても食べられるほど高い安全性を武器として、主に首都圏向けに出荷されている。
 カゴメは1998年から生鮮トマトの生産・販売事業に乗りだしており、2003年には福島県いわき市などと共同で「いわき小名浜真打」という大規模なハイテク農園を設立している。これは、総事業面積19.6ha、2つの温室の面積だけでも合計10haという広大な施設である。先端技術で管理された温室の中で、ほぼ年間を通して生鮮トマトを出荷している。
 参入を試みたものの、うまくいかなかった事例も少なくない。植物工場の事例ではないが「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは1992年に緑健農法(永田農法)と連携して、高級野菜の生産に乗りだした。だが、採算が取れず、2年足らずで撤退している。1997年にトマト販売の計画を発表し、準備会社までつくったものの業績の見通しが立たず、2002年に解散したオムロンの例もある。

遺伝子組み換え技術を応用することで、例えば抗酸化物質としてトマトに多く含まれるリコピンなど、特定成分を大量に含むものを生産することも可能になるだろう。サプリメントや特定保健用食品、農作物の付加価値を高める上でも、遺伝子組み換えが果たす役割は大きくなる。対象も植物だけではなく微生物まで広がり、「バイオ工場」と呼ぶべきものへと進化するだろう。乳酸菌を使って発酵食品を作ったり、こうじ菌でアルコールを作ったりなど、食と微生物は昔から関係が深い。医薬品分野では、微生物の遺伝子の一部を組み換えて薬効成分を生産する技術はごく普通のものである。
 遺伝子組み換え技術を応用すれば、微生物が目的の物質を直接作ることも可能になる。微生物を使ってアミノ酸やでんぷんなどの有機物をダイレクトに作り、そこからバランス栄養食や麺類などを作る、という逆のプロセスの方が当たり前になるかもしれない。バイオテクノロジーによる生産が前提になれば、わざわざ農作物を作ってそれを加工するのは、かえって手間を増やすだけである。液体や粉体の方がはるかに効率良く生産ができる上、保存や輸送の手間もかからなくなる。

バイオエ場で生産するのは、食料だけとは限らない。微生物や植物が生み出すあらゆるものは「再生可能」であり、将来的にも持続可能である。
「サステイナビリテイ」という意識が高まるにつれて、バイオエタノールやバイオディーゼルなどのエネルギー、バイオマスプラスチックといった工業原料など、事業領域が大きく広がる可能性が高い。エネルギーや工業原料の生産では食品ほど安全性にナーバスではないため、ゲノム技術を応用した生産が加速するだろう。工場や培養タンクで植物(あるいはその成分)が作れるようになれば、食料とエネルギーで畑を取り合う必要がなくなる。

生物の力を使った「回収」による生産

ある種のカビはマンガン(Mn)を付着して酸化させる性質を持っており、さらにその酸化マンガンは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、タングステン(W)、バナジウム(Ⅴ)などのレアメタルを吸着する働きがある。「シネワラ・アルゲ」という細菌は、体内にパラジウム(Pd)をnmサイズの粒子に加工して体内に取り込むという性質を持っている。そのため、細菌そのものを高性能な触媒として利用できる。そのほかにも「バナジウムボヤ」というホヤの一種は、文字通りバナジウムを体内に取り込む性質を持っており、その濃度は海水の1000万倍にも達するという。

海や川に住む「シワネラ・オネイデンシス」と「シワネラ・アルゲ」という微生物は、「鉄呼吸」というユニークな性質を持っている。
これは、呼吸の際に酸素ではなく泥の中から鉄イオンを取り入れ、別の鉄イオンを排出するというものである。この働きを利用して、大阪府立大学教授の小西康裕氏のグループは、鉄の代わりにレアメタルのイオンを取り込み、体内で金属粒子に戻すことに成功した。実験では200ppmの金イオンが溶けた水溶液から、30分でほぼ全量が回収できたという。京都大学でも遺伝子組換え酵母を使って、排水や海水からレアメタルを回収する研究が続けられている。

バイオ工場で生産するのは、有機物だけとは限らない。光合成以外にも、生物は人間の技術など足元にも及ばないような様々な能力を持っている。これらを利用して海水や排水から資源を効率良く「回収」し、レアメタルなど無機物を生産することもバイオ工場の重要なビジネスになっていくだろう。

医療に革命的な変化をもたらすゲノム医療

「ゲノム」とは遺伝子(遺伝情報)のことであり、これを使った新しい医療技術が目覚ましい進歩を遂げている。
ゲノム情報を基に、「ゲノム診断」「ゲノム治療」「ゲノム創薬」「再生医療」といった、従来とは一線を画する新しい医療が登場しつつある。
 近年、様々な生物でゲノム解析が進み、2003年4月には約32億塩基対に上るヒトのゲノム情報が解読された。その結果、遺伝子のどの部分がどんな働きをするかという、生命の根源に関わる情報が次々と明らかになっている。
ゲノム情報を活用することで、例えば病気の原因を遺伝子レベルで突き詰め、ピンポイントで根治したり完璧に予防したりできる可能性が出てきた。
さらに、老化のメカニズムが解明されることで老化を止めたり、自分の細胞を培養して新たに臓器を作り直すということも、決して夢ではなくなってきた。
これまでのような対症療法による医療とはアプローチが異なり、革命的な治療効果をもたらす可能性がある。

ゲノム解析が進むにつれて、これからの医療は患者のゲノム情報を基に治療方針を立てる「テーラーメード医療(オーダーメード医療)」が中心になっていくだろう。
これまでの医療は、疾患で生じる「結果」を治療する対症療法が中心であった。熱が高ければ解熱剤で下げる、腫瘍ができたら手術で取り除くというのは、どれも対症的な治療である。ゲノム治療が可能になると、発熱や腫瘍ができた根本的な原因(ある種のたんばく質の異常など)を突き掠め、取り除くことができるようになる。
 同じ病気に対する治療の効果や副作用は、個人によって異なる。そのため、治療方法や投薬量はすべての人が同じわけではなく、経験や勘に頼らざるを得なかった。しかし近年、ヒトゲノムが徐々に解明されたことで、わずかな遺伝子の違いが治療の効果や医薬品の副作用に深く関わっているのが明らかになってきた。

DNAは4つの塩基配列によって遺伝情報を伝えている。だが、その配列は同じヒトであっても少しずつ異なっている。最も多い違いが、一つの塩基だけが、異なる塩基に書き換わった「1塩基多型(SNPs)」である。かつては1塩基の違いでは、そこから発現するたんばく質の種類や機能にはそれほど大きな影響は及ほさないと考えられてきた。
だが近年、この違いによって医集品の効果や副作用に差が生じることが確認されている。つまり、これは、患者の遺伝子をあらかじめ解析してSNPsのパターンを把握できれば、より安全で効果的な治療や投薬を実現できるということでもある。「DNAマイクロアレイ(DNAチップ)」と呼ばれる分析機器の進歩でゲノム解析をスピーディーに行えるようになり、さらにナノ材料(ナノカーボンなど)を活用して目的の所に薬物を運ぶ「DDS(ドラッグデリバリーシステム)」の進歩と相まって、ゲノム治療は将来的に大きく発展するものとして期待される。
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医療に革命的な変化をもたらすゲノム医療

2005年から「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」が進められている。
これは、約30万人のDNAや血清などを「バイオバンク」に集め、SNPsと病気、医薬品の効果や副作用などの関係を究明することで将来の医療に役立てようというものである。肥満遺伝子のゲノム診断などは、既に商用ベースで始まっている。
 遺伝子を直接治療することも可能になる。
例えば、遺伝子の塩基配列の異常によって特定のたんばく質が作られず、病気を引き起こしている患者の場合、それを根本的に治すには遺伝子レベルでの治療が必要となる。
具体的には、患者の骨髄から幹細胞を取り出して正常な遺伝子を導入する。このとき、細胞の核のDNAに組み込むためにウイルスなどを利用する。細胞を培養した後、患者の体内へ細胞を戻すと正常な遺伝子が働きだし、施術前には作られなかったたんばく質が作られるようになる。ゲノム診断やゲノム治療が定着すれば、健康管理や予防、治療のあり方が根本から変わるのは間違いないだろう。

ゲノム創薬では「抗体医薬」が大きな注目を集めている。これは、ゲノム情報を基に病気の原因と思われるたんばく質(抗原)を狙い、それに対応する有効な抗体たんばく質を作って、実際に有効であるか実証することで効率良く医薬品を開発するという方法である。IT技術を活用し、コンピューターでたんばく質の構造解析や有効成分の予測などを行いながら、医薬品となる可能性がある物質を「設計」していくのが特徴である。
 これまでの創薬は、研究者の経験や勘、似た病気に対する薬剤の情報などを基にして開発されていた。候補となる膨大な種類の化合物を合成し、試験を繰り返すといった方法が一般的であった。そのため、実用化までには長い期間と莫大な資金が必要だった。だが、遺伝子情報を参照することで、これからは医薬品を効率良く「設計」できるようになる。
 最近になって糖尿病などの代謝性疾患や神経難病などの発症に、遺伝子が深く関与していることが分かってきている。病気に関連する遺伝子の働きを解明することで、より有効な治療薬の開発につなげることができる。また、関連する遺伝子が発現するたんばく質を解明すことで、薬の開発期間を大幅に短縮することも期待できる。このことは画期的な薬品を、より低コストで作ることができる可能性があることを意味する。
 同じ病気の患者には同じ医薬品を投与するため、薬が効く人もいれば、体質によっては効かない人もいる。ゲノム創薬の進歩によって、将来的には個人の遺伝的な体質に合わせて、副作用が少なく効果の大きい薬を提供できるようになるだろう。

再生医療の飛躍的進歩

「再生医療」も近年、急速に進歩している。皮膚や骨、角膜、軟骨など、細胞を培養して移植するといった再生医療は、以前よりも臨床で実施されている。骨髄移植も、造血幹細胞を用いた血球系細胞の再生医療である。iPS細胞(誘醤多能性幹細胞)と呼ばれる特殊な細胞を人工的に作ることが可能になったことで、再生医療が一気に注目を集めている。
 iPS細胞は「万能細胞」とも呼ばれており、条件を変えて培養することによって、理論的にはどんな臓器も作ることができる。この研究を進めていけば、近い将来、自分の細胞で神経細胞や肝臓、腎臓、毛髪、心筋といった臓器を自由に作ることができるようになり、機能しなくなった古い臓器は取り換えることができるようになるはずだ。臓器移植は既に広く行われているが、他人の臓器を移植するため拒絶反応が常に問題であった。だが、iPS細胞は自らの細胞を加工して作るため、このような心配がない。
 どのような条件にするとjPS細胞がどんな臓器に分化するか、また、どのような培養方法があるかなど、様々な国が先を争うように研究を進めている。ここで重要になるのもやはり「ゲノム情報」であり、細胞が分化する過程で遺伝子がどんな働きをするかについても研究が進められている。

ゲノム医療が社会に与える様々な影響

ゲノム医療の実用化によって、平均寿命が飛躍的に延びる可能性が出てきた。病気に対する治療効果が上がるのはもちろん、遺伝子レベルでの診断や予防によって、致命的な疾病を未然に防ぐことができるようになるだろう。さらに、アンチエイジング技術の発達によって肉体的な衰えも抑制できるようになるだろう。2025年には、日本人女性の平均寿命は100歳を超えると筆者は予測する。
 寿命が延びたり、病気で苦しむことがなくなるのは非常に素晴らしいことではある。だが、現実的な問題として、平均寿命が飛躍的に延びれば年金制度を再設計する必要があるだろうし、医療費の負担は現時点での予測をはるかに上回るものになるだろう。特に、ゲノム医療は莫大な費用がかかると予想され、すべての人が最高レベルの医療サービスを受けるのは、現実的には不可能だろう。経済力によって寿命や肉体的クオリティーが大きく変わるということが、将来的には予測される。
 ゲノム医療の進歩によって、将来は死ぬことの方がむしろ難しくなるかもしれない。だが、社会が持続し、そして進歩するには代謝(=世代交代)が必要である。どこまで生きるか----。自分の寿命を自分の意思で選ぶ時代が来るだろう。

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