急増する国際結婚
急増する国際結婚
「多民族国家」の道を歩み始めた日本
日本の婚姻総数は年々減り続けており、1970年の約100万件から2007年の約72万件へと、3割近く減少した。
その一方で、国際結婚の件数は右肩上がりに増えており、2007年には4万272件と約8倍も増加している。
1970年では200組に1組の割合でしかなった国際結婚は、2007年には17組に1組まで増えた。東京都の区部では10組に1組、大阪市では12組に1組が国際結婚であり、今や珍しいものではなくなっている。
このことは人々の価値観にも様々な変化をもたらすだろう。
今後は若年労働者の不足を補うために、外国人労働者が流入する可能性が極めて高い。不足分を補うには数百万人規模の移民が必要になるだろう。
受け入れる層は若年層が中心になるため、必然的に婚姻・出産を押し上げるものと予測できる。
国際結婚には様々な制約があるものの、件数、割合共に今後も増え続けるであろう。
2025年には1割以上が国際結婚になると予測される。
国際結婚の中味を見てみると、日本人男性と外国人女性という組み合わせが多い。
2007年では、妻が外国人というケースで見ると、中国(1万1926人)が最も多く、次いでフィリピン(9217人)、穐囲・北朝鮮(5606人)がこれに続く。
一方、夫が外国人というケースでは、韓国・北朝鮮(2209人)が最も多く、次いで米国(1485人)、中国(1016人)の順で多くなっている。
婚姻相手という点では、男性と女性では顕著な違いがある。
日本人男性は配偶者の経済条件にこだわらない人が多いが、外国人女性は結婚の条件として配偶者の経済状況を重視する傾向が強いからだろうと推測される。
国際結婚を契機に、その親類縁者が日本に移り住むケースも増えてくるだろう。
これまでの日本社会では外国人の存在は特別であり、「お客さん」的な立場で扱われることが多かったが、国際結婚の割合が5%以上ともなると、もはや「例外」ではなく「前提」として考える必要がある。
「外国人と共に暮らす社会」である。
日本人という自覚(アイデンティティー)は、自分とは異なる文化と接することで目覚める。
EU統合による民族の移動によってナショナリズムが高まったように、これからは日本の文化や伝統を見直そうという意識が強くなるということも予測される。