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深刻化する水不足

飛躍的に増加する食料需要

深刻化する水不足

国連は現時点でも「世界中の5人に1人(12億人)が安全な飲料水を手にできず、5人に2人(24億人)が下水などの基本的な衛生施設を欠いており、これを解決するには1800億米ドルもの巨額な費用が必要である」と報告している。

地球に存在する水のうち、淡水は2.5%に過ぎない。
しかし、ここでいう淡水には南極の氷なども含まれており、人間が実際に使用できる水はわずか0.008%(約10億8000万km3)といわれている。
実はこれだけでも、世界の人々が必要とする量を賜うには十分な量なのだが、問題はそれが偏って存在していることである。

全世界で使われる水のうち、全体のおよそ1/3は農業用水である。水の需要は年々増加の傾向にあり、過剰な汲み上げによる地下水の枯渇やかんがい用水の不足によって、穀物の生産にも深刻な影響が出始めている。
世界有数の穀倉地帯である中国北部や米国の一部地域でも、既に地下水が枯渇したところが出てきている。
黄河流域では、上流から流れてきた水が海までたどり着かない「断流」が頻繁に起こるようになった。このままいくと、2020年には流域における畑の大半が荒地になる可能性があると指摘されている。
水不足は今後、インド、西アジアなど世界各地に広がる見通しである。

下図は水をめぐる紛争や水危機が起こっている地域を表したものである。もともと水が乏しい地域だけではなく、水が豊かといわれた地域にも問題が広がっている。
画像の説明

新興国では工業用水や生活用水の需要が高まったことで、農業用水の不足に拍車が掛かっている。特に中国は、各地で水問題に悩まされている。
中でも深刻なのは、首都・北京の周辺である。北京が位置する黄河下流域は、もともと降水量が少ない乾燥地帯である。そこで急激な工業化と人口増加によって水の需要が爆発的に増加し、水不足が深刻化している。過剰な汲み上げによって地下水の水位は約300mまで下がり、さらに毎年60cmずつ下がり続けている状態であると、北京政府は警告している。大型ダムを造って必死に水を集めているが、それによって今度は周辺地城で工業用水が足りなくなる、というジレンマが続いている。
2006年に中国は、長江流域に世界最大規模の「三峡ダム」を完成させた。さらに現在、「南北水調プロジェクト」と呼ばれる、三峡ダムを大きく上回る規模の利水事業が進められている。これは、水が豊富な南部の長江から水不足が深刻な北京を含む北部の黄河へ、運河を掘って水を送り込むという計画であるが、完成までに50年は掛かるといわれている。中国ではこうした対策が必要なほど水問題が深刻なのである。

農作物の輸入は水の輸入と同義

中国での水事情の悪化は、日本にとっても決して人ごとではない。
なぜなら中国から食料を輸入するということは、中国の水を輸入しているのと同じだからである。
食料を生産するためには大量の水が必要であり、その水は「バーチャル・ウオーター」(仮水)と呼ばれている。
具体的には、牛肉1kgを生産するためには約20tもの水が必要とされている。同様に大豆の生産であれば1kg当たり2.5t、小麦なら1tの水がそれぞれ必要とされる。
日本の食生活は米国や中国の水に支えられていると言っても、過言ではないのである。
画像の説明

日本の食料自給率はカロリーベースで41%であり、食料の大半を海外から輸入していることは先に述べた。別な言葉で言えば、大量の水を海外に依存しているということになる。
バーチャル・ウオーターの量は年間で600億t以上と推計されており、これは国内の農業用水使用量(552億t、2004年)を上回る量である。
日本で水が豊かだと思えるのは、食料が輸入できるという前提があってこそなのである。
万が一、海外から食料が全く輸入できなくなれば、国内で消費される水の全て(うち生活用水約162億t、工業用水約121億t、2004年)を農業に回してもまだ足りないことになる。
「食料ナショナリズム」の深刻化によって日本が今の状態で自給率を高めようとすれば、今度は水不足が顕在化することになるということである。

水不足は経済問題

「水不足」とはいっても、水は物理的になくなるわけではなく、地球全体で考えると、水は形を変えてもその質量は一定である。
つまり、水がないのではなく、「使える状態の水」が足りないのである。これは水に限らず、地球上のあらゆる資源に言えることである。
地球全体の水の約97%は海水だ。単純に言えば、これを淡水化できれば水問題を一挙に解決することが可能である。海水を淡水化する技術も既に確立されてはいるが、問題は採算が合わないことである。
つまり、水不足というのは「使える水を得るためのコストが掛かり過ぎる」ということである。
本質的には「経済問題」であると捉えるべきなのだ。
 水間題の解決策として期待される「海水の淡水化」であるが、そのコストは着実に下がってきてはいる。
大型プラントを使って海水を淡水化するためのコストは、最近では1m3当たり1米ドルを切る値段まで下がってきている。
それに伴って、近年は中東などで淡水化プラントの建設が進んでおり、世界全体の淡水化施設数は2005年から10年間で約2倍になると予測されている。
淡水化技術に関しては、日本企業は実績と技術力のどちらも、世界最高水準にある。
さらに、水資源を効率的に利用するための「陸上養殖」や「植物工場」の技術と組み合わせることで、限られた土地や水で食料資源を増産する技術が見えてくる。
水を効率よく浄化する技術、そしてその水を効率よく利用して食料や資源を生み出す技術は、将来的の日本を救うことになると期待したい。

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