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雇用形態の変化

急増する国際結婚

雇用形態の変化

社会システムの抜本的な見直し

先進国では、肉体的な衰えを理由に60歳や65歳で「定年」とする制度は実情に合わなくなってきている。
高齢者が培った経験や知識、人脈が失われることは大きな損失であることはもちろん、社会的にも納税の減少社会保障費の増加で負担が増えるなど、何重もの損失になっている。
人口動態から考えて、これから人手不足がますます深刻化するのは確実だ。
働く意欲も能力もある人材を半強制的に引退させるシステムを見直そう、という機運が高まってくるであろう。
この5年以内に現行の年金や医療制度は破綻するとの予測もある。
抜本的な見直しの中で、いずれにしても大幅な給付削減は避けられないだろう。
その中で十分な医療が受けられない、経済的に暮らせない人達が数多く出てくることも予想される。
それを補うための民間の保険や年金も出てくるだろうが、営利を目的とする民間ベースの商品と、相互扶助や福祉を目的する社会保険は別物である。 これまで「自由化」を旗印に「小さな政府」がよしとされてきたが、「責任ある政府」を求める声が強くなるだろう。

金融危機に端を発する今回の不況で、世界、特に米国が学んだことは、自由化と経済効率の追求は万能ではないということである。
コストが安いという理由で生産拠点を移した結果、国内産業の空洞化が進んでしまった。
そのため、景気対策をしようにも投入した公的資金の多くは海外に流れ、皮肉にも中国やインドで雇用を増やすだけになっているのが実情である。
また、半導体やディスプレイなどハイテク化が進む産業では、設備が増えるだけで恒常的な雇用の創出にはあまりつながらないものもある。自由化やハイテク化は、一方では景気対策がしにくい経済構造を生み出している。

3年、5年先まで、ある程度仕事の見通しが立たないと、自動車や家などの大型商品を買うのは難しい。
安心して子供も産めなくなるのは当然だ。
社会の安定、将来の不安をできるだけ少なくすること、安定した雇用の確保が、持続的な経済成長には不可欠なのである。
現在のように雇用を極限まで削ってでも利益を出す方が評価されるという状況は、そう長くは続かないのではないだろうか。

価値観が多様化する中、経済的な豊かさに価値を見出さない人々も増えている。
最近、出世を望まない若者が増えていることや、仕事一辺倒ではなく私生活のバランスを重視しようという「ワークライフバランス」という言葉に注目が集まっているのはその端的な例だろう。
ホームレスでも餓死者がほとんどいないように、日本に住んでいる限りそれなりに生活はできてしまう。 あとは物質的な豊かさをどこまで求めるかであるが、それは個々人によって大きな差が出るところである。

グローバル化の影響で、これからは経済的な格差がある程度まで広がるのは日本でも避けられないものと見られる。
埋めようがない差は「諦め」にもなり、行き過ぎた贅沢は「呆れ」にもなるだろう。
「平等でなければならない」という強迫観念が薄れていくこと、すなわち格差を容認するところから、自分の求める豊かさというものが見えてくるのではないかと思われる。

雇用確保の重要性について社会の理解は格段に高まり、一種のCSRとして捉えられるようになる。
例えば法人税だけではなく、所得税、社会保障の拠出分をトータルで見て、それが企業の社会的貢献(CSC=Corporate Social Contribution)というかたちの新しい指標になることも予想されている。
その企業が納税や雇用という点で、社会にどれだけ貢献しているかを端的に示すものだからだ。雇用が多いメーカーやサービス系企業に対しては、手厚い保護や優遇措置が取られるようになるという仕組みである。

ナショナリズムの高まりを反映して、今後色々なシーンで国家レベルでの交渉が必要になるケースが増えてくる。
原料確保や関税、輸入規制など、一企業ではどうにもならない問題もたくさん出てくるだろう。
保護や支援を受けるためにも、これからは「グローバル企業」ではなく、出自を明確にした「マルチナショナル企業」という意識が不可欠になる。 支援を受ける見返りとして社会に何を還元できるかを示す必要がある。そのためにもCSCというかたちで、具体的な数字で貢献を表そうという動きが出てくる。
 クオリティーの高い商品やサービスを生むには、モチベーションが高い、優秀な人材が不可欠である。 人は最も重要な経営資源であり、優れた企業を創ることは優れた人をどれだけ集め、育てられるかにほかならない。
だが、コストや効率ばかりを計算していては、「寄せ集め」や「安物」が幅を利かせるようになり、人材の育成も仕事に対するプライドも生まれようがない。
最近は価値感がますます多様化し、給料や地位だけで人を動かすことは難しくなっている。特に、仕事への高い忠誠心を持っている人であればなおさらである。
信頼感や社会的評価の高さ、目先の損得を超えた魅力、すなわち「徳」のある企業に優秀な人材が集まる。
それは同時に、企業のサステイナビリティを最も確実に担保するものである。

顧客との関係を結ぶ上でも、「徳」は極めて重要な要件になる。
これからの時代の財産は「顧客」であり、どれだけ長く深くつながりを持てるかが重要になる。
特にブロードバンドが前提となる社会では、サービスを通じて一つの企業と長期にわたる関係が続くケースが増える。
携帯電話はその典型的な例だ。しかも、ネットワークは相手が見えにくい。生産や流通のプロセスが複雑になるほど、消費者の観点ではブラックボックスとなる部分が多くなる。
従って、その企業がどれだけ信用できるか、尊敬に値するかが極めて重要になってくるのだ。
目先の利益に流されない、悪い情報もタイムリーに開示するといった信頼感のある企業に顧客が集まるようになり、誠実さがきちんと評価されるようになるだろう。

雇用の安定については、女性や高齢者、さらに外国人を含めて、安定かつフレキシプルに働けるように、法律や支援制度を整備することが基本になる。
安定した雇用は、企業の「サステイナビリテイ」を高めることにもなる。
さらに重要なのは、今後斜陽化が避けられない20世紀産業に代わる、新たな産業を育てることである。
輸出の約7割を占める「モノづくり」産業---具体的には自動車やエレクトロニクス産業は、新興国とさらに厳しい競争に晒されるのは明らかである。
コスト競争に巻き込まれない高付加価値化や、質の高いサービスを組み合わせた複合化など、21世紀産業への転換がどこまでできるかによって、相乗的にGDPをどこまで伸ばせるかも決まってくるだろう。

働き方も大きく変わってくる。21世紀産業が中心となる時代においては、各個人がコンピューターや生産機械では代替できないような高いスキルを磨いていくことが不可欠である。
誰でもできる仕事であれば、人件費の安い途上国に仕事を持っていかれてしまうし、定型的な業務の多くはいずれ機械に取って代わられる。
人間だけができる仕事=「クリエーティビティー」(創造力)を発揮できる仕事の価値が一層高まる。

労働人口

女性労働力は頭打ち、男性労働力は減少の一途をたどる

画像の説明

労働力人口とは、15歳以上で働く意思と能力を持っている人の数である。
2005年から総人口の減少が始まっているが、労働力人口は1998年の6793万人をピークに減少傾向にある。
2008年末現在では6650万人と、この2~3年は6600万人台で横ばいが続いている。
ただ、中味としては大きく様変わりしており、15~29歳の若年労働力が減る一方、団塊世代が60歳以上を迎えたことで高齢の労働力人口が増え続けている。
2025年には労働者の2割近くが60歳以上になると見込まれる。
画像の説明

男性の労働力人口は、2000~2008年に約110万人減少する。
一方、女性の労働力人口は1995年以降、2700万人台を維持していいる。
減少した男性の労働力を女性がカバーするという構図である。
一般的には、女性の社会進出が進んでいるというイメージが強いが、実際には女性の労働力率(生産人口に占める労働力人口)は1990年代に約50%で頭打ちになっており、最近まで横ばいが続いている。
これは、社会全体の平均年齢が上がる一方、働く意思がある女性の大半は既に雇用が済んでおり、ほぼ限界に達しているとみるべきだろう。
女性の労働力率は今後横ばい、もしくは緩やかに減少に向かっていくとみられる。
一方、男性は高齢者の割合が高くなったことで、労働力率が今後さらに減少するのは確実である。 
ピークだった1998年時点と比べると、男性の労働力人口は2025年で約500万人も減少する見込みである。

これからは、人材の争奪戦が厳しくなっていくとみられる。 特に、絶対数が少ない若年労働者はまさに「金の卵」になるだろう。
社会のルールや常識が変わる時代だからこそ、既成概念に捉われず新しい発想を待った若者が必要となるからだ。
移民政策の転換で、外国人労働者も増加するだろう。100万人規模で若年層を中心に外国人が入ってくることを考えると、2025年における20~30代の労働者は当初の予測より200万~300万人上積みになる可能性がある。
画像の説明

非正規雇用の割合は、右肩上がりが続いている。 非正規雇用者数は1990年の870万人から、2008年には1719万人へと約2倍に増加した。非正規雇用の割合は2008年で33.9%と、今や3人に1人以上が非正規という状況にある。
一方、正規雇用者数は、1990年の3437万人から1998年に3798万人でピークを迎えた後、2008年には3348万人へと450万人も減少している。
 特に注目されるのは、若年層の非正規雇用率や失業率が依然として高い水準にあることだ。
2008年ではフリーターは170万人と、2003年のピーク時に比べて47万人減少したものの、ニート(若年にもかかわらず働かない層)は近年7年間は約64万人と横ばいが続いている。
2008年の失業率4.0%に対して、15~24歳は7.2%、25~34歳は5.2%と平均を上回っている。
 非正規雇用によって人件費が固定費から変動費へと変わったことで、企業にとっては仕事量に応じて柔軟な体制を組めるようになった。
だがその一方で、就業者の多くを「いつまで仕事があるか分からない」という不安定な地位へ追いやったのも事実だ。
正社員と非正規社員の間の収入格差は拡大しており、将来的に収入が増える見込みがなければ生活設計も変えざるを得ない。 共働きでないと生活が維持できない、子供を産んでも経済不安を抱えるという雇用不安を解決しなければ、非婚・晩婚、そして少子化を根本的に解決することは難しい。
収入が安定した正規雇用者(サラリーマン)が減ることは国内の消費を支える中産階級が減少するということでもあり、最終的には企業が自らのクビを絞めることになる。

CSR(企業の社会的責任)や「サステイナビリテイ」が問われ始めるにつれて、正社員の比率を高めようという意識が強くなっていくだろう。
労働人口が減り続ける中で、企業側の都合だけを優先した雇用体系では優秀な人材はやがて去っていく。
非正規雇用率の上昇は、数年以内に頭打ちになる可能性が高い。
長期雇用の方が結果的には人件費を抑えられるし、社員も安心して働ける環境があってこそパフォーマンスが上がる、という当たり前のことに気付くだろう。
優秀な社員は、「個人契約者(Individual Contributor)」と呼ばれる、複数の企業を掛け持ちする個人事業主となり、「ポジティブな非正規雇用」ともいうべき新しい就労形態を選ぶ人が増えてゆく可能性もある。
画像の説明

各業界のトッププレーヤーは、次の成長戦略を求めて異業種への参入を進めている。
グループの中で様々な事業を展開しており、一種のコングロマリット(異分野の事業を複合的に展開する巨大企業)を形成しつつある。
優秀な人材の確保とコストの抑制という両方の側面から人事政策は変化し、雇用形態は今後、さらに多様化していくだろう。
就職=正社員として身分が保証される、いろいろな部署を経験して全員がマネジャー(ゼネラリスト)として昇進を重ね、最後に役員に上り詰めることをめざす、という画一的なキャリアパスは、既に過去のものとなりつつある。
働く側の価値覿も多様化したため、ライフスタイルの中で何を重視するかは人によって違う。
就業時間、休日の設定、勤務場所、給与やインセンティブ、役職など、求めるものは千差万別である。
同じ企業の中であっても、就業者全員に一律の処遇をする方がむしろ不自然になっている。

多様化から個別化へ

今後の企業は、いかに優秀な人材を確保できるかで成否が決まる。
先に述べた”複数の企業を掛け持ちする個人事業主”という雇用形態は一例である。
基本的には企業と個人が条件を個々に話し合って契約する、というスタイルが定着する可能性が高い。
雇用形態は多様化というレベルを超えて、「個別化」が主流となっていくと推測される。
そうなると、就労形態の多様化に伴って、個々の労働者の権利をどのように守っていくかが改めて課題になる。
「春闘で一律のベースアップ要求」という時代に逆戻りすることはあり得ない。

優秀な人材を確保するために、在宅勤務の専従者や定年退職後の高齢者、出産後の女性を再雇用する「契約社員」が増えることも想定される。 ここでいう契約社員とは、従来の意味での派遣社員ではない。基本的には正社員と同じ待遇ではあるが、諸般の事情から一般社員と異なる勤務体系(日数や時間、それに伴う報酬の違い)などにおいて、特別の条件で採用する社員のことである。
 報酬や勤務時間はもちろん、業務内容やポジションなどの待遇、交通費や社宅などの支給、インセンティブの有無、さらには託児所の費用負担など、就業に関連するあらゆるものが契約の範囲となる。
年功序列などないに等しい外資系企業では、個別契約が当然のものと考えられている。
プロ野球のオフシーズンには契約更改があるが、サラリーマンといえども契約交渉がごく普通になるだろう。
これは正社員でも同じで、「長期にわたる雇用が保証されている」ことを除けば環境に変わりはない。

さらに、プロフェッショナルとして通用するスキルを待った個人は個人契約者として、複数の会社と契約を結ぷケースも出てくるだろう。
個人契約者は複数の名刺を持って活動する、パートタイムの掛け持ちである。
高い専門性を持ち、雇用主から独立した存在であるのが特徴だ。
フルコミッションで働くプロの営業マン(証券、保険、自動車販売など)、公的資格の保有者、さらに特殊なスキルを持った人材(デザイン、企画、設計など)が、このカテゴリーに入ってくるだろう。

正社員の採用は今よりも難しくなる。正社員はゼネラリストとして、専門知識や能力が要求される。
具体的には、プレゼンテーションやコミュニケーション能力、さらにはリーダーシップ、モチベーションアップ、コーチングといったプロの管理者としての指導能力が厳しく問われる。
優秀な人材の囲い込みが進み、正社員の待遇は現在よりもずっと改善されるだろう。

雇用形態の多様化は、社会に様々な変化をもたらす。柔軟な雇用システムによって、高齢者や子供を持つ女性にとっては働く機会が確実に増えるだろう。
だがその一方で、将来的な昇給が期待できない、あるいは雇用の長期保証がない就労者も増加する。
経済的な不安の高まりは、婚姻や出産にも確実に影響を与えるだろう。また、住宅や自動車など、長期のローンを組んで購入するような大型商品の消費にも影響が出てくる。

定常的なオペレーション業務についてはコストの安い派遣社員を使い、正社員はコアの部分だけ、というスタイルが徹底されるだろう。
オペレーション業務のアウトソース化が進むことで競争が激しくなり、所得の抑制が続く。
その結果、正社員と非正規社員の間の所得格差は拡大し、「一億総中流」という日本社会の特徴は崩れていく。
国際的に見れば日本は稀に見る平等社会であり、「社会主義より平等な資本主義国」とさえいわれている。
世界の多くの国では格差があるのは当たり前であり、社会的階級が明確に分かれている。グローバル化はこのような負の部分も、日本の社会にもたらすことになるだろう。

非正規社員やアウトソーサーといった外部リソースを活用することは、一方ではセキュリティーに対する不安を高める。企業の境界線がどこにあもかも見えにくくなる。企業としても外部リソースの活用とセキュリティーの確保の両立は大きな課題となり、デジタル社会におけるオフィス環境にも変化をもたらすだろう。

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